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2018.10.02 16:00  マネーポストWEB

水道料金「月額2万円」時代へ? 値上げと地域格差拡大の背景

平均水道料金は2017年に過去最高を記録


 福岡県のある町では水道料金が月額4370円(2015年)から2万2239円(2040年)になる──というショッキングなデータが公表されている。これは「人口減少時代の水道料金はどうなるのか?(改訂版)」という資料の一部だ(EY新日本有限責任監査法人 水の安全保障戦略機構事務局による)。

 この数値は約20年後の予測値なので、一見、「まだまだ先のこと」と思うかもしれないが、それほど軽視しない方がいい。というのも、日本の水道インフラを巡る状況はかなり深刻な状況にあり、対応によっては早晩破綻することを政府が重々認識しているからだ。

 実際、水道料金は年々上がり続けていて、日本水道協会によると、料金値上げに踏み切った自治体はこの1年で47にのぼる。家庭用の水道料金は10年前に比べると約160円値上げされ、月額約3228円となっている(20立方メートルあたりの全国平均)。

 また、自治体ごとの料金格差も大きく、兵庫県赤穂市が月額853円なのに対し、北海道夕張市は月額6841円。実に月額約6000円、年額にして7万2000円近くの金額差が生じている(日本水道協会 全国の1339の水道事業まとめ 2017年4月1日時点 家事用20立方メートルあたり)。

 料金値上げと地域格差はなぜ生じるのか? その答えは2つ。「設備の老朽化」と「人口減少」にある。アクアスフィア・水教育研究所代表で水ジャーナリストの橋本淳司さんが言う。

「水道管は人間の血管と同じで、長く使えば当然劣化します。水道水に含まれる種々の物質が管内を流れていくうちに、内側が錆びていく。厚生労働省は管の耐用年数を40年としていますが、全国に張り巡らされた水道管の多くは高度成長期に設置されたもので、既にそのうちの14.8%が耐用年数を超えています。ところが、これらの老朽化した管の修理・更新率はわずか0.75%で、このペースだとすべてを更新するには、130年かかります。

 法定年数を超過したらすぐに管を交換しなければならないわけではなく、50~60年使っている自治体もありますが、老朽化を放置し続けると、地震などの災害時に水道管は破裂しやすくなります」

 老朽化に伴う水道管事故の発生件数は、毎年1000件以上(水道技術研究センター調べによる)。西日本豪雨や北海道胆振東部地震でも、水道管が外れたり破裂した結果、断水で多くのかたがたが今なお苦しめられている。7月には東京都北区で水道管が破損し、道路が陥没、商店街一帯が冠水したことも記憶に新しい。

 また、老朽化の放置は水質にも悪影響を及ぼす。水道管の壊れた箇所から汚水が生じ、汚水が入り混じると病原体も含まれかねない。そのまま飲むと身の危険につながるかもしれない。

◆月額4370円から2万2239円に?

 古くなった管を修理すればいいではないか──と思うが、話は簡単ではない。水道水事業は各自治体による独立採算制で、原則として利用者の水道料金によって運営されているからだ。

 水道水が私たちの家庭に届くまでには、数多くの工程がある。水源の確保、ダム等への貯水、浄水場での濾過、配水池への貯水、個々への配水──それぞれに相当のお金がかかる。これらを水道料金でまかなわなければならないが、人口が少ない自治体は集金力が弱い。東京など大都市では水道管1kmあたりに1万人が暮らすが、地方都市では1000人、過疎地では100人以下となる。人口差は料金に如実に影響する。先述のように、高額自治体とそうでない自治体では8倍近くの料金差が生じるが、この格差は今後さらに広がるとみられている。

 冒頭で挙げた「人口減少時代の水道料金はどうなるのか?(改訂版)」のデータを見ると、 福岡県みやこ町では2040年に32.8%の人口減少が予測され、その人口で現状の水道インフラを保つには、月額4370円を2万2239円にしなければならない計算になる。

 データによると、2040年までに料金値上げが必要な自治体は全体の90%。そして、それらのうち、約4割は30%以上の値上げを余儀なくされる。自治体間の料金格差はさらに広がり、高額地域と少額地域の格差は19.6倍にまで広がる、とされている。

 みやこ町の数値はショッキングだが、決して遠い未来の話ではないし、自分の身に及ばぬ話でもない。「水道料金月額2万円」時代がやって来ることは充分あり得るのだ。

※女性セブン2018年10月11日号

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