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スティーブ・ジョブズもびっくり インド人の“神の交渉術”

ジョブズもたじたじの交渉術!?(写真はイメージ)

 アジアの金融センターと言われ、世界中から富裕層が集まっているシンガポール。民族の構成は中華系が74%と最も多いが、続いてマレー系13%、インド系9%となっており、インドから働きに来ている人や教育のために来ているエリート層や富裕層も数多く存在する。それぞれの民族によって、ビジネスのやり方や交渉の仕方も異なるようだ。『シンガポールで見た日本の未来理想図』(講談社+α新書)の著者で、当地に住むファイナンシャル・プランナーの花輪陽子氏が「インド人の交渉術」についてリポートする。

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 夫のビジネススクールの友人などエリート層のインド人10人くらいに紛れて、ミャンマーに旅行に行ったことがあります。日本人は我が家だけでした。

 翡翠で有名なミャンマー。同行していたうちの1人で金融業を営むインド人が翡翠を買おうと、店で値切り交渉を始めました。1つ2000円くらいの商品を3店舗で比較し、一番安い店で交渉を開始。

 現地の通貨をドルに変えて計算するために電卓を相手から借りて高速で叩きまくり、値切るのです。やっとのこと、交渉成立したかに思えました。が、クレジットカードで払うと言うと2%チャージすると言われたので、「それはダメだ」と現金をガサゴソ出し始めました。さらに、翡翠のブレスレットでは気に入った色やサイズがなかったので、作ってくれとも言い始め、お店の人も困惑を隠せない様子でした。

 途中で「君も指輪を買うか?」と聞かれましたが、私は興味がなく、暑さで子供もぐずり始め、待っている間、苦痛でなりませんでした。なんと交渉は2時間近くにも及んだのです。彼はもう1泊ミャンマーに滞在する予定でしたが、私たちはシンガポールに戻るため空港に向かわなければならず、「勘弁して……」という感じでした。

 シンガポールで経営者と話していると、「インド人との商談は朝までかかる時がある」という話をよく聞きます。それほどタフなネゴシエーションをしているからこそ、インドの会社も急成長しているのでしょう。『スティーブ・ジョブズ 神の交渉術』という本がありますが、インド人はスティーブ・ジョブズもびっくりの“神の交渉術”と言えるでしょう。味方にしたら神だけど、敵に回したくないと感じました。

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