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企業の「四半期決算」の問題点をどう解決するか、大前研一氏が解説

2018.10.11 11:00

 なぜ企業の決算報告は四半期ごとに行われているのか。経営コンサルタントの大前研一氏が、古くから続く慣

 なぜ企業の決算報告は四半期ごとに行われているのか。経営コンサルタントの大前研一氏が、古くから続く慣行である四半期決算そのものを見直すことの意義と実現可能性について、解説する。

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 上場企業の決算報告を四半期から半期に延ばすべきだという声が大きくなっている。

 たとえば、トランプ大統領は8月中旬、米証券取引委員会(SEC)に四半期決算の見直しに向けた検討を指示したことをツイッターで明らかにした。報道によれば、休暇先のニュージャージー州のゴルフクラブに多くの大手企業幹部を招いた際、10月に退任するペプシコのインドラ・ヌーイCEO(最高経営責任者)から、四半期ごとの決算報告を半期ごとに変更するよう提案されたという。

 これが実現すればアメリカはEUおよびイギリスと歩調を合わせることになり、多くの国の企業会計に影響を与えるとも報じられている。

 トランプ大統領の政策や発言はほとんど支離滅裂だが、今回の件はそれなりに評価できる。

 もともと四半期決算の見直しを求める声はあった。『日本経済新聞』(6月8日付)によると、アメリカの著名投資家で「オマハの賢人」「投資の神様」とも呼ばれるウォーレン・バフェット氏は、米紙『ウォールストリート・ジャーナル』に寄稿し、四半期決算ガイダンス(利益予想)の廃止を提言している。

 その理由は「企業が四半期決算に縛られると数字合わせという操作に走り、長期的な重要関心事に反した愚かなことをする」というもので、JPモルガン・チェースのジェイミー・ダイモンCEOも「四半期の数字作りのため、CEOはマーケティング予算を削減したり、新規支店を断念したり、安売り競争を展開したりする。バフェット氏のおっしゃるように、数字操作は自己増殖するものだ」と同調した。

 日本の場合も経団連が2017年度の「規制改革要望」で四半期開示制度を見直し、第1・第3四半期開示義務を廃止すべきと提案している。こちらの理由は、四半期決算短信と四半期報告書という異なる制度を根拠とした2種類の開示書類を提出しているが、その内容は相当重複しているし、大量の開示書類作成に携わる社員の稼動・負担が膨大なものになっている、というものだ。

 それらはすべて正論ではあるが、この問題はもっと別の方法で解決可能である。

 今や企業会計は、そろばんと紙を使っていた時代と異なり、コンピューターやAI(人工知能)を活用することによって売り上げや在庫などのデータをリアルタイムで把握できるようになっている。

 たとえば、世界200か国近くで事業展開しているあるグローバル企業の場合、デイリー(日次)まではいかないが、ウイークリー(週次)のデータを本社が掌握できるシステムを構築している。マンスリー(月次)で払っている給料などをデイリーやウイークリーに直すのは簡単だ。多国籍企業には為替の問題があるが、それもデイリーやウイークリーで締めるように会計基準を変更すればクリアできる。仕掛け上、デイリーやウイークリーの数字を出すことは、さほど難しくないのである。

 実際、すでに大半の上場企業の経営陣は、マンスリーで数字を見ているはずだ。それを社員に公開している会社もある。そういう会社の四半期決算は、単にマンスリーの数字を3か月分足し、監査事務所の監査を受けて取引所に提出すれば済むわけだ。株価などのことを考えて余計な操作をしなければ、投資家に対してもマンスリーで情報を提供することは不可能ではないのである。

※週刊ポスト2018年10月12・19日号

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