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「廃墟」に行く注意点 管理人がいない建造物に入ったら不法侵入か

廃墟に行っても大丈夫?(イメージ)

 現在公開中の大ヒット映画『カメラを止めるな!』は、“廃墟”が重要なキーワードになっているが、管理人がいない廃墟に入ったら、不法侵入で処罰されるのか? 弁護士の竹下正己氏が回答する。

【相談】
 この夏、心霊マニアの友人は勇んで廃墟になったホテルや工場に足を運びました。目的は心霊ビデオを撮ること。しかし、いくら管理者がおらず、所有者も不明な建物でも勝手に入れば不法侵入になると思うのですが、友人は気にしていません。もし、通報されたら、友人は警察に逮捕されてしまうのでしょうか。

【回答】
 刑法130条で「正当な理由がないのに、人の住居若しくは人の看守する邸宅、建造物若しくは艦船に侵入し、又は要求を受けたにもかかわらずこれらの場所から退去しなかった者は、三年以下の懲役又は十万円以下の罰金に処する」と定められています。

 つまり、住居侵入です。ただ、ご質問の施設が人の看守する建物といえるかが問題になります。まず、人の看守とは「人が事実上管理・支配しているという意味で、みだりに他人の侵入することを防止するに足る物的設備または人的配置のあることをいうものと解すべきである」と解されています。

 具体的には空家であっても、番人を置いて監視させたり、施錠して、その鍵を保管する等の方法により、現実に建物を事実上管理支配している場合は立ち入れません。

 建築中のビルの1階で、他の区画とは区分され、道路に向けて広く開け放たれて、立入りを防ぐ物的施設もなく、守衛などの人的対応もなかった倉庫部分に立ち入った件では、住居侵入罪を否定した例があります。ただし、この条文の解釈として、建造物とは単に家屋だけでなく、塀に囲まれた敷地の構内も含まれるとされています。したがって、建物に施錠などがなくても、塀や柵があり、門扉が施錠されていれば該当します。

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