ビジネス

青梅線に「東京アドベンチャーライン」の愛称は定着するか

かつて青梅線を走っていたジョイフルトレイン「四季彩」

 都営地下鉄の大江戸線は「ゆめもぐら」という愛称が決まったと発表されたものの、大きな反発をまねき、結局、定着しなかった。青梅線の青梅駅以西に名付けられた「東京アドベンチャーライン」は、人々に愛される名前になるのか。ライターの小川裕夫氏が、人々に呼ばれる愛称を目指した名付けのプロセスと目的について、レポートする。

 * * *
 先頃、JR東日本は青梅線の青梅駅以西の区間を「東京アドベンチャーライン」という愛称にすることを発表。9月14日から、「東京アドベンチャーライン」の使用を開始した。

 青梅線は東京都の立川駅―奥多摩駅間を結ぶ約37.2キロメートルの区間で、駅の数は25。立川駅から青梅駅までは中央線の青梅特快や青梅ライナーなどが乗り入れしており、運転本数は決して少なくない。平日の朝夕は通勤・通学路線といった趣もある。

 一方、青梅駅から西側の青梅駅-奥多摩駅は運転本数が少なく、沿線の人家はまばらだ。当然、利用者は少ない。

「青梅駅以西に『東京アドベンチャーライン』という愛称をつけることが検討されたのは2017年の冬頃です。青梅線は立川駅や新宿駅への通勤路線として使用されていますが、青梅駅-奥多摩駅間はそうした利用が少ないのが現状です。愛称をつけることで親しみをもってもらい、少しでも観光客・行楽客による利用を増やすことを目指しました」と話すのはJR東日本八王子支社の広報担当者だ。

 近年、鉄道路線に愛称をつけることは一般化しつつある。特に、ここ数年間は愛称をつけることで、世間の耳目を集めることも珍しくなくなった。

 一例を挙げれば、2014年には東武野田線に「アーバンパークライン」、2017年には都電荒川線に「東京さくらトラム」という愛称がつけられた。「東京アドベンチャーライン」も、そうした潮流に乗ったといえる。

 ただ、路線に愛称がつけられるようになったのは決して最近の話ではない。最近の愛称は話題性を重視しているためなのか、奇をてらった愛称が多い傾向が目立つ。

 そうした愛称には、イメージアップを意識しすぎて、地元の意向や郷土の文化を無視したようなネーミングも散見される。そんな愛称は地元軽視と捉えられて、沿線住民や利用者からそっぽを向かれる。

「東京アドベンチャーラインという愛称は、沿線の市町村や地元の観光協会などにも相談をして決めました。長い愛称なので『アドベンチャーライン』と略されがちですが、この愛称で肝心なのは『東京』という頭の部分です。なぜなら、大都会の東京にありながら壮大な自然が残っていることをアピールする狙いがあるからです」(同)

 2001年から2009年までの8年間、東京アドベンチャーラインの区間にあたる青梅駅―奥多摩駅間には「四季彩」という列車が運行していた。四季彩は青梅線を盛り上げるためのジョイフルトレインで、奥多摩の大自然や景色を堪能できるように窓を改造したり座席配置を変更したりといった工夫がなされていた。

 四季彩の運行終了後、青梅駅―奥多摩駅間に目立ったトピックはなかった。それだけに、JR東日本八王子支社は「東京アドベンチャーライン」にただならぬ力を入れている。

トピックス

《愛子さま、単身で初の伊勢訪問》三重と奈良で訪れた2日間の足跡をたどる
《愛子さま、単身で初の伊勢訪問》三重と奈良で訪れた2日間の足跡をたどる
女性セブン
水原一平氏と大谷翔平(時事通信フォト)
「学歴詐称」疑惑、「怪しげな副業」情報も浮上…違法賭博の水原一平氏“ウソと流浪の経歴” 現在は「妻と一緒に姿を消した」
女性セブン
『志村けんのだいじょうぶだぁ』に出演していた松本典子(左・オフィシャルHPより)、志村けん(右・時事通信フォト)
《松本典子が芸能界復帰》志村けんさんへの感謝と後悔を語る “変顔コント”でファン離れも「あのとき断っていたらアイドルも続いていなかった」
NEWSポストセブン
大阪桐蔭野球部・西谷浩一監督(時事通信フォト)
【甲子園歴代最多勝】西谷浩一監督率いる大阪桐蔭野球部「退部者」が極度に少ないワケ
NEWSポストセブン
がんの種類やステージなど詳細は明かされていない(時事通信フォト)
キャサリン妃、がん公表までに時間を要した背景に「3人の子供を悲しませたくない」という葛藤 ダイアナ妃早逝の過去も影響か
女性セブン
創作キャラのアユミを演じたのは、吉柳咲良(右。画像は公式インスタグラムより)
『ブギウギ』最後まで考察合戦 キーマンの“アユミ”のモデルは「美空ひばり」か「江利チエミ」か、複数の人物像がミックスされた理由
女性セブン
30年来の親友・ヒロミが語る木梨憲武「ノリちゃんはスターっていう自覚がない。そこは昔もいまも変わらない」
30年来の親友・ヒロミが語る木梨憲武「ノリちゃんはスターっていう自覚がない。そこは昔もいまも変わらない」
女性セブン
水原氏の騒動発覚直前のタイミングの大谷と結婚相手・真美子さんの姿をキャッチ
【発覚直前の姿】結婚相手・真美子さんは大谷翔平のもとに駆け寄って…水原一平氏解雇騒動前、大谷夫妻の神対応
NEWSポストセブン
大谷翔平の通訳・水原一平氏以外にもメジャーリーグ周りでは過去に賭博関連の騒動も
M・ジョーダン、P・ローズ、琴光喜、バド桃田…アスリートはなぜ賭博にハマるのか 元巨人・笠原将生氏が語る「勝負事でしか得られない快楽を求めた」」
女性セブン
”令和の百恵ちゃん”とも呼ばれている河合優実
『不適切にもほどがある!』河合優実は「偏差値68」「父は医師」のエリート 喫煙シーンが自然すぎた理由
NEWSポストセブン
大谷翔平に責任論も噴出(写真/USA TODAY Sports/Aflo)
《会見後も止まらぬ米国内の“大谷責任論”》開幕当日に“急襲”したFBIの狙い、次々と記録を塗り替えるアジア人へのやっかみも
女性セブン
違法賭博に関与したと報じられた水原一平氏
《大谷翔平が声明》水原一平氏「ギリギリの生活」で模索していた“ドッグフードビジネス” 現在は紹介文を変更
NEWSポストセブン