国際情報

安田純平氏、拘束直前に「幻のスクープ原稿」を書いていた

3年前に「スクープ資料」を持っていた(時事通信フォト・ハタイ県提供)

 2015年6月にトルコ経由でシリア入りした直後に行方不明となり、その後、現地のイスラム武装勢力に拘束されていたジャーナリストの安田純平氏が解放された。拘束されている間にどんな生活を送っていたのかが注目されているが、実はその安田氏は、拘束される直前、本誌・週刊ポストにある記事を寄せていた。

 原稿は日本からトルコに立つ前にほぼ完成しており、あとは現地の最新情勢を加筆する段取りになっていたが、そのタイミングで安田氏は「囚われの身」となり、連絡は途絶えた。

 その記事は、当時イラクやシリアで勢力を拡大していた「イスラム国(IS)」の内部資料を扱った内容だった。安田氏の原稿執筆をサポートしていた本誌記者が語る。

「拘束される前の中東取材中、安田氏はシリア人協力者から“IS幹部が保有していたとされるパソコン”を入手していた。データの中にはISが拘束していたフランス人の画像などがあり、本当に幹部の所有物であるとの信憑性は高かった。その他にもISの戦闘員リストやその待遇について記したものや、“コーランの教育テキスト”さらに“シリア軍への内通者リスト”などが確認されたのです」

 当時、ISは「建国宣言」を行なっていたものの、国際的には“規律が不完全なテロリスト集団”と見なされていた。だが、入手したパソコンからは「ISがすでに一定の組織的統制を持ちつつある」ことが窺える──安田氏の記事が、その点を浮き彫りにする「スクープ資料」だったことは間違いない。

「あえて彼が危険なシリアに入ろうとした理由には、このパソコンデータの内容をもとに、さらに深くIS内部の取材をしたいという意図もあったようです」(前出・本誌記者)

 そうした経緯を踏まえると、原稿を掲載すれば行方不明になった安田氏の安全にも関わる可能性があったため発表は見送られ、3年4か月の時が流れた。

関連記事

トピックス

伊藤沙莉は商店街でも顔を知られた人物だったという(写真/AFP=時事)
【芸歴20年で掴んだ朝ドラ主演】伊藤沙莉、不遇のバイト時代に都内商店街で見せていた“苦悩の表情”と、そこで覚えた“大人の味”
週刊ポスト
総理といえど有力な対立候補が立てば大きく票を減らしそうな状況(時事通信フォト)
【闇パーティー疑惑に説明ゼロ】岸田文雄・首相、選挙地盤は強固でも“有力対立候補が立てば大きく票を減らしそう”な状況
週刊ポスト
新アルバム発売の倖田來未 “進化した歌声”と“脱がないセクシー”で魅せる新しい自分
新アルバム発売の倖田來未 “進化した歌声”と“脱がないセクシー”で魅せる新しい自分
女性セブン
大谷の妻・真美子さん(写真:西村尚己/アフロスポーツ)と水原一平容疑者(時事通信)
《水原一平ショックの影響》大谷翔平 真美子さんのポニーテール観戦で見えた「私も一緒に戦うという覚悟」と夫婦の結束
NEWSポストセブン
大ヒット中の映画『4月になれば彼女は』
『四月になれば彼女は』主演の佐藤健が見せた「座長」としての覚悟 スタッフを感動させた「極寒の海でのサプライズ」
NEWSポストセブン
中国「抗日作品」多数出演の井上朋子さん
中国「抗日作品」多数出演の日本人女優・井上朋子さん告白 現地の芸能界は「強烈な縁故社会」女優が事務所社長に露骨な誘いも
NEWSポストセブン
国が認めた初めての“女ヤクザ”西村まこさん
犬の糞を焼きそばパンに…悪魔の子と呼ばれた少女時代 裏社会史上初の女暴力団員が350万円で売りつけた女性の末路【ヤクザ博士インタビュー】
NEWSポストセブン
(左から)中畑清氏、江本孟紀氏、達川光男氏による名物座談会
【江本孟紀×中畑清×達川光男 順位予想やり直し座談会】「サトテル、変わってないぞ!」「筒香は巨人に欲しかった」言いたい放題の120分
週刊ポスト
大谷翔平
大谷翔平、ハワイの25億円別荘購入に心配の声多数 “お金がらみ”で繰り返される「水原容疑者の悪しき影響」
NEWSポストセブン
【全文公開】中森明菜が活動再開 実兄が告白「病床の父の状況を伝えたい」「独立した今なら話ができるかも」、再会を願う家族の切実な思い
【全文公開】中森明菜が活動再開 実兄が告白「病床の父の状況を伝えたい」「独立した今なら話ができるかも」、再会を願う家族の切実な思い
女性セブン
伊藤
【『虎に翼』が好発進】伊藤沙莉“父が蒸発して一家離散”からの逆転 演技レッスン未経験での“初めての現場”で遺憾なく才能を発揮
女性セブン
大谷翔平と妻の真美子さん(時事通信フォト、ドジャースのインスタグラムより)
《真美子さんの献身》大谷翔平が進めていた「水原離れ」 描いていた“新生活”と変化したファッションセンス
NEWSポストセブン