ライフ

高齢者の排泄トラブル、「その話題に触れるな」オーラが出てくる

排泄の領域は「禁断」エリア(写真/アフロ)

 認知症の母(83才)を介護することになったN記者(54才・女性)。母は元来、何事もキチンとしていたい人。だから、尿もれなどの排泄トラブルを抱えていたら、さぞストレスだろうと考えていたが、母は“その領域”に踏み込むことを許さなかった。気持ちはわかるものの、どのようにケアしていけばよいかN記者は悩んだという。

 * * *
 高齢の親を持つ友人たちが、よくため息まじりに嘆くのは排泄トラブルだ。単なる老化現象としてちょっと“もれる”のは普通のことらしいが、後始末を家族に手伝ってもらう必要が生じると、事態は一気に深刻化。家族が使う生理用品やティッシュペーパーを厚く畳んでこっそり当ててみたり、汚してしまった下着を部屋の死角やたんすに隠したりするようになる。

“介護あるある”と言っていいほどポピュラーな話だ。

 家族ももちろん苦労するが、当人の気持ちになって考えれば、恥ずかしくて情けなくて申し訳なくて、そのストレスたるや相当なものだろう。ましてやわが母の場合、その苦悩は耐えがたいはずだ。

 母は元来、几帳面で何事もキチンとしたい性格。若い頃は「だらしないのはダメよ」が口癖だったし、認知症になった今も、母がひとりで暮らすサ高住の部屋はいつもピシッと整理整頓されている。

 洗濯や着替えは今のところ自分でできているので、もれて困った状況になっても、私がすぐに気づくことはないが、もし“そのとき”が来たら母はどんな反応をするだろう。

 父の急死や、私が急かした認知症診断の直後、自分の症状に戸惑い、妄想で狂ったようになった母の様子を思い出し、いずれ訪れるかもしれない母のおシモ問題に今から頭を抱えている。

 認知症に関しては、母は比較的すんなり受け入れた。晩年を二人三脚で歩むため、認知症であることを伝え続けたこともあるし、母の親族の多くが認知症になりながら、わりと穏やかに暮らしていることも影響していると思う。

「私、認知症だから、明日のお出かけの1時間くらい前にも電話ちょうだいね。忘れちゃうから」と、最近は几帳面な母らしく、ご丁寧に支援要請をしてくるようにもなった。だが、排泄問題に関してはまったく状況がつかめない。

「友達のお母さん、ちょっと尿もれが心配でパッドとか使っているんだって…」などと遠慮がちに話を振っても、「ふ~ん、年を取ると仕方ないわね」とそっけなく、さらに“その話題に触れるな!”というオーラも出してくる。

関連キーワード

関連記事

トピックス

大谷の妻・真美子さん(写真:西村尚己/アフロスポーツ)と水原一平容疑者(時事通信)
《水原一平ショックの影響》大谷翔平 真美子さんのポニーテール観戦で見えた「私も一緒に戦うという覚悟」と夫婦の結束
NEWSポストセブン
大ヒット中の映画『4月になれば彼女は』
『四月になれば彼女は』主演の佐藤健が見せた「座長」としての覚悟 スタッフを感動させた「極寒の海でのサプライズ」
NEWSポストセブン
国が認めた初めての“女ヤクザ”西村まこさん
犬の糞を焼きそばパンに…悪魔の子と呼ばれた少女時代 裏社会史上初の女暴力団員が350万円で売りつけた女性の末路【ヤクザ博士インタビュー】
NEWSポストセブン
華々しい復帰を飾った石原さとみ
【俳優活動再開】石原さとみ 大学生から“肌荒れした母親”まで、映画&連ドラ復帰作で見せた“激しい振り幅”
週刊ポスト
中国「抗日作品」多数出演の井上朋子さん
中国「抗日作品」多数出演の日本人女優・井上朋子さん告白 現地の芸能界は「強烈な縁故社会」女優が事務所社長に露骨な誘いも
NEWSポストセブン
死体損壊容疑で逮捕された平山容疑者(インスタグラムより)
【那須焼損2遺体】「アニキに頼まれただけ」容疑者はサッカー部キャプテンまで務めた「仲間思いで頼まれたらやる男」同級生の意外な共通認識
NEWSポストセブン
学歴詐称疑惑が再燃し、苦境に立つ小池百合子・東京都知事(写真左/時事通信フォト)
小池百合子・東京都知事、学歴詐称問題再燃も馬耳東風 国政復帰を念頭に“小池政治塾”2期生を募集し準備に余念なし
週刊ポスト
(左から)中畑清氏、江本孟紀氏、達川光男氏による名物座談会
【江本孟紀×中畑清×達川光男 順位予想やり直し座談会】「サトテル、変わってないぞ!」「筒香は巨人に欲しかった」言いたい放題の120分
週刊ポスト
大谷翔平
大谷翔平、ハワイの25億円別荘購入に心配の声多数 “お金がらみ”で繰り返される「水原容疑者の悪しき影響」
NEWSポストセブン
【全文公開】中森明菜が活動再開 実兄が告白「病床の父の状況を伝えたい」「独立した今なら話ができるかも」、再会を願う家族の切実な思い
【全文公開】中森明菜が活動再開 実兄が告白「病床の父の状況を伝えたい」「独立した今なら話ができるかも」、再会を願う家族の切実な思い
女性セブン
ホワイトのロングドレスで初めて明治神宮を参拝された(4月、東京・渋谷区。写真/JMPA)
宮内庁インスタグラムがもたらす愛子さまと悠仁さまの“分断” 「いいね」の数が人気投票化、女性天皇を巡る議論に影響も
女性セブン
大谷翔平と妻の真美子さん(時事通信フォト、ドジャースのインスタグラムより)
《真美子さんの献身》大谷翔平が進めていた「水原離れ」 描いていた“新生活”と変化したファッションセンス
NEWSポストセブン