「今年4月から、民放とスポンサーの間で使われるCM料金の取引指標が変わりました。これまではリアルタイム視聴率だけで判断していましたが、『P+C7』(ピー・プラス・シーセブン*)という新しい指標が導入されたんです」
【*Pは「番組」、Cは「CM」、7は「7日間」を指す。放送後7日間以内のCM枠を含めたタイムシフト(録画)平均視聴率を意味する。新指標はリアルタイム視聴率にこの数字を加えて算出される】
従来の視聴率は、ビデオリサーチ社が調査対象世帯に専用の受像器をセットし、その世帯が「いま見ている番組」を集計して算出。その数字を元にテレビ局は各企業に営業をかけていた。
新たに導入されたのは、録画再生の視聴割合を指す「タイムシフト視聴率」だ。従来の視聴率だけでなく、1週間のタイムシフト視聴率を合算した数字をもとに、スポンサーと広告代理店、テレビ局が取引することになった。
背景にあるのはリアルタイム視聴率の低下だ。
ピーク時の2005年度に12.2%だった民放キー局5社のプライムタイム(19~23時)の平均視聴率は、2017年度に9.1%まで下落。とりわけフジは2005年度の14.3%から2017年度は7.8%と、ほぼ半減している。
CMを中心とする広告収入は、テレビ局の放送事業の売り上げの8~9割を占めるため、視聴率の低下はテレビ局の経営にとって大打撃となる。
そんな中で登場したのが、「タイムシフト視聴率」という“新たな物差し”だった。元テレビプロデューサーで上智大学文学部教授の碓井広義氏が語る。