バトン部の練習シーンでは、ホットパンツで美脚を披露した。
「当時ホットパンツは流行していたし、特に恥ずかしいとは思いませんでした。弘二に『吉川君、脚きれいだね』とおだてられるシーンで初めて自分の脚をよく見て、『この角度なら、きれいに見えるのか』と勉強しましたね」
ドラマには、松竹の大先輩だった笠智衆も、弘二の祖父役として出演していた。
「メイク室でお化粧していたら、笠さんが入ってきて、『僕の女房がねぇ、離婚したいっていうんですよ』と突然話し始めたことがあった。私は20歳だったし、絶句しました(笑い)」
吉川君のイメージは、早瀬の芸能人生に付いて回った。
「一時期は似たような役ばかりが巡ってきたし、悪女の役をやりたいと事務所に言ったら、『合わない』と突っぱねられたことも。でも、こんな大ヒット作に恵まれることはない。今も、街を歩いていると、『吉川くん!!』と呼ばれますからね。役のイメージが強いので、ファンの方から『叱られたい』と懇願されることもあります。無理ですけど(笑い)」
【プロフィール】はやせ・くみ/兵庫県生まれ。1966年、松竹映画『紀ノ川』で銀幕デビュー。『おれは男だ!』以降は多数のテレビドラマに出演し、1975年には『奥さん!2時です』(毎日放送)の司会を務めた。誕生日の12月25日、東京・六本木「ホオキパスクエア」でイベント開催予定。
◆取材・文/岡野誠
※週刊ポスト2018年11月9日号