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孫正義氏が経団連会長になったら何が変わる? 春闘廃止、週休3日制も

2018.11.09 07:00

 名だたる大企業のトップが役員に名を連ねる経団連。その会長は「財界総理」と呼ばれ、発言には政府の経済

 名だたる大企業のトップが役員に名を連ねる経団連。その会長は「財界総理」と呼ばれ、発言には政府の経済政策を左右する重みがあった。

 だが、近年「財界の総本山」の威厳や求心力は急速に萎み、総理大臣や財務省・経産省の「政策追認機関」と揶揄される。そんな“軽団連”のトップに、“あの異端の経営者”を据えて立て直すべきだという意見がにわかに巻き起こっている。

〈孫正義氏を経団連会長に〉──そんな“推薦文”が載ったのは、日経新聞のコラム「大機小機」(10月17日付)だった。

〈劇的な変化の時代にあって(中略)もはや「サラリーマン経営者」をリーダーとみなさない例が増えてきた。そこに「孫氏を経団連会長に」との待望論につながる深層がある〉

 もしも「孫正義・経団連会長」が実現したら、日本経済に何が起きるか。大きく変わりそうなのが、「雇用と労働の関係」である。

◆「春闘」の廃止

 近年、春闘の形骸化が著しいが「孫氏はそもそも『春闘廃止』を打ち出すのではないか」との見方がある。専門誌『経済界』編集局長の関慎夫氏が解説する。

「事実、ソフトバンクは経団連に加盟しながら春闘に参加していないし、そもそもソフトバンクに労組はありません。連結子会社の一部に労働組合があるが、組織率は非常に低い」

 孫氏は、自らが必要とする人材に惜しみなく報酬を支払ってきた。2014年9月に孫氏が“後継候補”に指名したニケシュ・アローラ氏を副社長に迎えた際には、165億円を支払っている(2015年3月期)。在任期間1年10か月の報酬は420億円にものぼる。

「必要な人材には相応の報酬を支払うというのが孫氏の基本的な考え方で、そもそも彼の頭の中には横並びで給料が決まるという発想がないのだと思います。ましてや業界各社が横並びでベースアップやボーナスを求める春闘はナンセンスに映っているはず」(同前)

◆「新卒一括採用」も廃止

 現在、経団連が“存在感”を見せているのが大学生の採用指針の見直しだ。新卒一括採用などの「就活ルール廃止」を2021年から断行するものだが、ソフトバンクは既に2015年から「ユニバーサル採用」を実施し、通年採用を実施している。

「新卒・既卒を問わず募集対象とし、一度就職をした人でも再挑戦できる制度です。傘下のヤフーも『ポテンシャル採用』という名称で、通年採用を導入済み。現に外資系企業などは既にルールを無視している。“孫会長”が『もういらない』という判断を下しても不思議はない」(経済ジャーナリスト)

◆「週休3日制」の実現

 安倍政権が旗を振る「働き方改革」の内容もまったく違うものになる。孫氏の描く働き方を表わす、象徴的な話がある。

「社員の英語教育を実施する際に、楽天では“TOEICで最低650点以上、役員は800点以上”という基準を設けた。一方、ソフトバンクでは“TOEIC900点で報奨金100万円”というやり方を取った。尻を叩く楽天に対して、孫氏はいわば社員に“ニンジン”をぶら下げた。社員のやる気を生かす手法をとり、結果までのプロセスは問わないのです」(前出・関氏)

 元ソフトバンク社長室長で孫氏の側近だった、多摩大学客員教授の嶋聡氏はこんな言い方をする。

「孫氏の関心はいま、AIやロボットに向いています。額に汗かく仕事はロボットに任せ、人間は経営や戦略、マネジメントに専念する。それが彼が思い描く働き方改革です。社員にはよりクリエイティブな仕事を任せるということです」

 ソフトバンク傘下のヤフーでは、既に「週休3日」の選択制度を導入している。ロボットが代替してタスクを減らした先には、「週休3日制」の実現の構想を練っているかもしれない。

※週刊ポスト2018年11月16日号

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