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2025年、大量の「廃墟マンション」が出現する根拠

 次善の策としては必要な修繕費用について、所有者で構成する管理組合で借り入れをし、修繕積立金を大幅にアップさせることで返済していくといった手もありますが、所有者の高齢化が進行していると、定期収入がなく年金などに頼って生活している世帯も多く、そう簡単に値上げもできなかったりします。それでしかたなく、いくら建物が老朽化して雨漏りや水漏れなどを起こしていても、応急処置程度で本格的な修繕ができないといった事態に陥る可能性があります。

 さらに事件が経過していくごとに、所有者が亡くなると相続が始まります。このマンションを相続した子供の世帯は、都心部や駅近を好み、バス便マンションに住む気はありません。では売ろうと思っても、前述した理由でいくら安くしても売れないといった事態に陥るでしょう。

 中には、所有者が死亡した後も相続が円滑に行われずそのまま、といったケースも多発しそうです。こうなると管理費や修繕積立金の徴収ができませんので、ますます身動きが出来なくなります。建物はボロボロ、清掃などの日常的な管理もままならなくなると、それを嫌気して引っ越していく人も出てくるでしょう。こうした動きが重なってマンションは廃墟化していくのです。

 もちろん全てのバス便マンションがこうなるということではありません。しかしたいていのケースで、2025年あたりにはこうしたマンションの存在が都市郊外で浮かび上がり、社会問題化するでしょう。

●ながしま・おさむ/不動産コンサルタント。株式会社さくら事務所代表取締役会長。1967年生まれ。広告代理店や不動産デベロッパーの支店長などを経て、個人向け不動産コンサルティングを行うさくら事務所を設立。『不動産格差』、『「空き家」が蝕む日本』、『失敗しないマンション選び』など著書多数。

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