近年、ラジオの魅力に注目する人が増え、ラジオブーム再燃の兆しだ。ラジコなどが登場し、どこでもラジオを聞けるようになったのも大きい。
では、ラジオはどこに行くのか。「橋P」として知られるTBSラジオのプロデューサーの橋本吉史さんは、「ラジオは最も接しやすいメディアになった」と指摘する。
「ラジオ受信機しかない時は扱いづらかったけど、ラジコの登場により、ラジオはスマホやパソコンで手軽に聞けるものになりました。特にタイムフリーで全国の放送局の1週間前の番組まで、いつでもどこでも聞き返せる点は、他媒体と比較してもはるかに便利です。昔と違って今は“ラジオを聞けない環境”がどこにもないんです」
橋本さんは「ラジオの未来は明るい」と指摘する。
「今はテレビやネットなど、視覚を奪う動画メディアは多いけど、ラジオのように聴覚を奪うサービスは音楽サービス以外にはさほどありません。歩いたり作業している時の“ながら聴取”、つまり耳は空いているので、まだまだラジオには進化する余地がある。また、脳科学的な観点からも、目で見るより耳で聞く方が脳に情報が早く入り、人間の行動に影響しやすいといわれています。番組コンテンツのクオリティーが今の時代に合う内容であれば、新しいメディアとして発展する可能性は大いにあります」
“だったらラジオを聞いてみようかしら…”という初心者に、ラジオの特性を知り尽くすフリーアナウンサーの吉田照美さん(67才)はこんなアドバイスを送る。
「受信機でもラジコでもいいので、まずはランダムに5つほど番組を聞いてみてほしい。ラジオを聞けば、これまで知らなかった新しい世界が広がるはずです」
ラジオの逆襲はすでに始まっている。
※女性セブン2018年11月22日号