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2018.12.03 15:00  マネーポストWEB

沢田研二のドタキャン問題 ファンの交通費や宿泊代の補償は?

コンサートがドタキャンされた場合、法的に賠償義務はあるか(イメージ)


 芸能界で先ごろ話題になったのが、“ジュリー”こと沢田研二のコンサート・ドタキャン問題。直前に中止が発表されたため、すでに会場を訪れてしまったファンも大勢いたが、交通費や宿泊代を請求できるのか? 弁護士の竹下正己氏が回答する。

【相談】
 沢田研二さんのコンサート・ドタキャン問題。実は私も北海道から参加していて、チケット代は払い戻されるでしょうが、高額な交通費や宿泊代がどうなるのか心配です。コンサートを観れなかったのに、自己負担するのは納得できません。主催者に請求しても無駄ですかね。泣き寝入りするしかありませんか。

【回答】
 コンサートのチケットを購入した観客は主催者との間で、当該会場で一定の日時に特定の実演家のライブを鑑賞できるサービスの提供を受ける契約を締結していることになります。

 コンサートがキャンセルになれば、主催者は無過失でない限り、このサービスを提供する義務の履行を怠ったことになります。チケット代の返金は当然ですが、債務不履行である以上、その債務不履行により生じたといえる損害についての賠償責任も否定できません。

 ただ、損害がドタキャンと関係があればよいというのではなく、法的に責任を負わせるべきと評価できる範囲の損害に限定されます。いわゆる風が吹けば桶屋が儲かる式の関係ではなくて、債務不履行により通常発生すると思われる範囲までが限界で、その関係を相当因果関係といいます。

 観客は会場に出向くのに交通機関を利用し、交通費を支払うのが普通です。開演直前で観客が席についている段階でのドタキャンは、会場までの交通費などはすでに発生しており、相当因果関係があります。とはいえ、観客が交通費を請求するには証明する必要があり、さらに主催者も様々な観客に対応することにもなり、大変な作業でしょう。実際の扱いがどうなるかはわかりませんが、交通費は賠償対象にあると思われます。

 ただし、それはあくまでも「通常」発生する交通費です。遠方から高額の交通費をかけ、あなたのように宿泊までして駆けつけたファンがいたかもしれません。そうであっても、コンサートの希少性、チケット代の金額、コンサートの継続時間など、遠方からやってきて、一定期間宿泊するのが当然だと考えられるような特異な事情がない限りは、通常発生する損害ではないと判断され、賠償対象にはならないと思います。

【弁護士プロフィール】竹下正己(たけした・まさみ):1946年、大阪生まれ。東京大学法学部卒業。1971年、弁護士登録。

※週刊ポスト2018年12月7日号

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