デビューから40年を経てもその笑顔は変わらない(撮影/田中智久)

 その作戦が功を奏したか、石野は16社からスカウトを受け、1978年3月25日に『狼なんか怖くない』でデビュー。作詞は歌謡界最大のヒットメーカー・阿久悠、作曲はフォークの帝王・吉田拓郎、編曲は元はっぴいえんどの鈴木茂という、なんとも豪華な布陣であった。

 キュートな歌声でたちまちトップアイドルの座に就いた石野はその後も『失恋記念日』『ジュリーがライバル』『春ラ!ラ!ラ!』などヒットを連発。その一方で、映画『九月の空』やドラマ『熱愛一家・LOVE』に出演するなど、女優としても才能を発揮する。

「歌やお芝居以外にも、バラエティ番組のコントや司会など、短期間に多くのことを経験させていただいて。1日10本の仕事を掛け持ちすることもあって、本番直前に新曲の振り付けを覚えたりしていました。生放送の番組ではハプニングもありましたけど、そのおかげで鍛えられた気がします。

 そんな綱渡りの毎日を走り抜けることができたのは、若い私を支えてくださったスタッフの皆さんの熱意と愛情があったから。2枚目のシングル『わたしの首領』ではミニスカートの衣装が恥ずかしかったり、芸能人水泳大会では『どうして水着で歌うのかしら』と思ったりもしていましたけど(笑い)、当時の映像を観ると、そんな思いを微塵も感じさせないくらい、満面の笑みで歌っていて。やっぱり歌うことが好きだったんですよね」

◆「真っ子ちゃーん」の声が飛ぶライブでファンとの絆を深める

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