ビジネス

東京でマンションを今買うなら「山手線の内側北部」

都心のマンション局地バブルもついに頭打ちか

 都心部などで新築マンション価格が高騰する“局地バブル”が長らく続いてきたが、ここにきて、ついに頭打ちの様相を呈しているという。その要因として「坪400万円の壁が大きい」と指摘するのは、住宅ジャーナリストの榊淳司氏だ。

 * * *
 都心のマンション市場における局地バブルが本格的に始まったのは、2014年の異次元金融緩和第2弾(いわゆる黒田バズーカ2)以降である。2015年と2016年は外国人の爆買いや相続税対策などもあって、都心のマンション価格は目に見えて上昇した。

 港区や千代田区の人気エリアでは2013年に比べて1.5倍から2倍の水準になっている。この影響を受けて世田谷区などの城南エリアでも新築、中古ともにマンション価格が上昇した。おおよそ1.2倍から1.5倍くらいであろうか。

 ただし、ここにきて奇妙な現象が起きている。都心の人気ステイタスエリアを別にして「頭打ち感」が出始めたのだ。この現象を説明しよう。

 まず、文京区を例に見てみたい。文京区といえば区域のほとんどが山手線の内側になり、教育施設が多く集まる文教地区もいくつかあるので居住ニーズは高い。マンションも比較的売れやすいエリアだ。

 その文京区の新築マンションも、バブルの勢いに乗って価格が上昇した。人気エリアだと坪単価にして400万円を軽く超えてしまった。ただし、そういう高価格な物件はだいたいが建物完成まで売れ残り、最後は値引きになった物件も多い。逆に、坪単価を300万円台に抑えた物件は、比較的スムーズに完売に至っている。

 次に世田谷区に目を転じよう。城南エリアの代表格である世田谷区は、この局地バブルが始まる以前は坪単価200万円台の物件も多かった。ところが今では300万円未満の物件はごくわずか。中には400万円台を突き抜けている物件も見られる。しかし、そういう物件は軒並み販売不振だ。最近では、人気のある駅に比較的近い場所で売り出される物件でも、価格は坪単価300万円台の中後半に留めているケースも見かけるようになった。

 世田谷から東横線に沿って多摩川を超えれば、そこは武蔵小杉だ。この駅近エリアではタワーマンションが林立。平均坪単価を300万円台中盤に設定された物件は、わりあいスムーズに完売。しかし、販売途中で値上げを行い坪単価300万円台後半から400万円台とした物件は、竣工から何年も売れ残っている。

 今話題の東京都中央区の勝どきエリア。ここもタワーマンションが林立している。駅に近い中古タワーマンションが常時数十物件売り出されている。7000万円から8000万円くらいの物件は売買が成立しやすい。1億円を超えると、途端に動きが悪くなる。

 その原因を解説しよう。都心の実需向けマンション市場は、坪単価400万円のラインで頭打ちになっている。つまり、マンション価格にして8000万円くらいまでの物件は新築も中古も売買が成立しやすい。ところが、そこを超えると動きにくい。総額8000万円ということは、20坪だとすると坪単価が400万円となる。

 つまり、坪単価400万円あたりにかなり強力な壁が形成されているのだ。なぜだろう?

関連記事

トピックス

大谷の妻・真美子さん(写真:西村尚己/アフロスポーツ)と水原一平容疑者(時事通信)
《水原一平ショックの影響》大谷翔平 真美子さんのポニーテール観戦で見えた「私も一緒に戦うという覚悟」と夫婦の結束
NEWSポストセブン
国が認めた初めての“女ヤクザ”西村まこさん
犬の糞を焼きそばパンに…悪魔の子と呼ばれた少女時代 裏社会史上初の女暴力団員が350万円で売りつけた女性の末路【ヤクザ博士インタビュー】
NEWSポストセブン
華々しい復帰を飾った石原さとみ
【俳優活動再開】石原さとみ 大学生から“肌荒れした母親”まで、映画&連ドラ復帰作で見せた“激しい振り幅”
週刊ポスト
中国「抗日作品」多数出演の井上朋子さん
中国「抗日作品」多数出演の日本人女優・井上朋子さん告白 現地の芸能界は「強烈な縁故社会」女優が事務所社長に露骨な誘いも
NEWSポストセブン
死体損壊容疑で逮捕された平山容疑者(インスタグラムより)
【那須焼損2遺体】「アニキに頼まれただけ」容疑者はサッカー部キャプテンまで務めた「仲間思いで頼まれたらやる男」同級生の意外な共通認識
NEWSポストセブン
2週連続優勝を果たした 竹田麗央(時事通信フォト)
女子ゴルフ 初Vから連続優勝の竹田麗央(21) ダイヤモンド世代でも突出した“飛ぶのに曲がらない力”
NEWSポストセブン
学歴詐称疑惑が再燃し、苦境に立つ小池百合子・東京都知事(写真左/時事通信フォト)
小池百合子・東京都知事、学歴詐称問題再燃も馬耳東風 国政復帰を念頭に“小池政治塾”2期生を募集し準備に余念なし
週刊ポスト
(左から)中畑清氏、江本孟紀氏、達川光男氏による名物座談会
【江本孟紀×中畑清×達川光男 順位予想やり直し座談会】「サトテル、変わってないぞ!」「筒香は巨人に欲しかった」言いたい放題の120分
週刊ポスト
大谷翔平
大谷翔平、ハワイの25億円別荘購入に心配の声多数 “お金がらみ”で繰り返される「水原容疑者の悪しき影響」
NEWSポストセブン
【全文公開】中森明菜が活動再開 実兄が告白「病床の父の状況を伝えたい」「独立した今なら話ができるかも」、再会を願う家族の切実な思い
【全文公開】中森明菜が活動再開 実兄が告白「病床の父の状況を伝えたい」「独立した今なら話ができるかも」、再会を願う家族の切実な思い
女性セブン
ホワイトのロングドレスで初めて明治神宮を参拝された(4月、東京・渋谷区。写真/JMPA)
宮内庁インスタグラムがもたらす愛子さまと悠仁さまの“分断” 「いいね」の数が人気投票化、女性天皇を巡る議論に影響も
女性セブン
大谷翔平と妻の真美子さん(時事通信フォト、ドジャースのインスタグラムより)
《真美子さんの献身》大谷翔平が進めていた「水原離れ」 描いていた“新生活”と変化したファッションセンス
NEWSポストセブン