「ドロドロの愛憎劇が“ザ・昭和”の世界観。劇中で人生初のペアルックを体験しましたが、これ見よがしなお揃いも昭和的な熱量の表現ですよね(笑い)。『彼女の体に溺れた』なんて非日常の台詞には真剣さゆえのおかしさもあるけれど、言葉の端々に日本語独特の美しさや文学的な響きがちりばめられていて痺れます。
僕らの四角関係を軸にあっちからもこっちからも流れ弾が飛んでくるような、エッと驚愕する展開が怒濤のように押し寄せるので絶叫マシン的な興奮に身を委ねていただきたい。通子と多衣に気圧されて終始受け身の旬平も、この先まさかと思う行動で波乱を巻き起こします」
妻と愛人の間で翻弄される旬平は不甲斐ないが、料亭を畳んで小料理屋の板前になっても料理の信念を貫き通す姿には共感できる。その信念が演じる上での拠り所にもなったと明かす。