◆多言語翻訳機の普及で新たな世界を切り開け
さらに、その先には壮大な世界戦略も見えてくる。AIを取り入れた翻訳機は多言語間の翻訳ができるので、英語を使わなくてもよい。そこがミソである。世界中の英悟を母語としない国や地域の人々が、母国語で世界中の人々とコミュニケーションできるようになる。たとえば英語をまったく話せない日本人でも、スマホとイヤホンだけで自由に世界旅行ができるし、インド人が中国の農村や中東を訪ねて商売するようなことも容易にできる。
要するに、世界中でコミュニケーションの壁がなくなるわけであり、英語という一元的なコミュニケーション手段で文化的にも経済的にも世界をリードしてきた、欧米の支配が崩れる可能性があることを意味する。
わが国は海外の著作を日本語に翻訳し、欧米文化を取り入れることに成功してきた翻訳文化の先進国である。そのノウハウを多言語に応用すれば、新たな世界を切り開く先導者になれるかもしれない。世界に貢献する国家プロジェクトとしてぜひ取り組んでもらいたい。