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2018.12.12 07:00  マネーポストWEB

ファーウェイ・ショック、ソフトバンク上場にも影響必至か

ファーウェイ(華為技術)ショックはどこまで波及するか(Imaginechina/時事通信フォト)


 ソフトバンクグループの株価が下落している。12月10日の終値は8616円で、3日終値と比べると▲10.7%下落している。同じ時期の日経平均株価の下落率▲6.0%と比べ、下げ幅が大きいが、これは、6日に発生した通信障害に加え、いわゆるファーウェイ(華為技術)ショックによる影響が出ているからであろう。

 12月1日、カナダ当局はバンクーバーで華為技術会長の娘である孟晩舟CFOを拘束した。複数のマスコミが「これはアメリカの要請に基づいた逮捕であり、アメリカは彼女の身柄引き渡しを要求している。彼女はアメリカのイランに対する制裁禁止措置に違反したからだ」と伝えている。

 アメリカでは8月、国防権限法が成立、政府機関や政府との取引のある企業は華為技術、中興通訊(ZTE)の機器、サービスの利用を禁じられている。2社の製品、半導体にはウイルスが仕込まれており、不正傍受やサイバー攻撃に利用されているとしている。

 アメリカは同盟国に対して利用の自粛を要請していたが、日本政府も7日、両社の製品を政府調達から事実上排除する方針を決めた。これを受けてソフトバンクグループなど通信4社は10日、基地局などの通信設備について、購入を控える方針を固めたようだ。

 4G方式の基地局に関して、ソフトバンクグループは華為技術、ZTEの通信機器を採用している。2020年に本格的にサービスが開始される5Gに関しても基地局設備として2社の製品を採用するとみられていた。そのほか、IoT(モノのインターネット)サービス分野においてこの2社と商業化に向けた研究開発を共同で行っていた。

 そこで気になるのが、12月19日に東京証券取引所に上場予定の、ソフトバンクグループの通信部門である子会社・ソフトバンク株への影響だ。華為技術、ZTEとの関係見直しが初値にどう影響するのか注目される。

◆華為技術の半導体チップ購入金額は世界第5位

 アメリカがどこまで踏み込んで、制裁を課すのかについてはいまのところはっきりしない。華為技術は、通信機器メーカーとしては世界トップクラスの企業であり、アメリカ企業との取引量も多い。

 Gartnerの資料によれば、2017年における華為技術の半導体チップ購入金額は142億5900万ドルでサムスン電子、アップル、デル、レノボに次いで世界第5位である。また、前年比32.1%増加している。

 スマホ、PCサーバー、通信設備などを生産しており、2000社超の仕入先を抱えている。影響は全世界的に広範囲の企業に及ぶ。国信証券のレポートによれば、金額ベースで取引額の大きい企業は、物流サービスのDHL、PC組み立ての富士康、半導体チップのクアルコム、アナログ・デバイセズなどである。そのほか、ブロードコム、インテル、テキサスインスツルメンツ、マイクロソフト、オラクル、シノプシスなど、多くのアメリカ企業が仕入先として名を連ねている。

 また、米中貿易摩擦が激化する中、アメリカが本国市場から中国企業を締め出そうとするならば、アメリカ企業は人口が14億人に迫る中国市場から締め出されかねない。華為技術への制裁や追加関税率の引き上げを行い、これ以上米中貿易摩擦をエスカレートさせれば、アメリカ経済や株式市場にも悪影響が出かねない。

 アメリカの株式市場は足元で、株価が乱高下している。もし、弱気相場入りとなれば9年半も上げ相場が続いた後であるだけに、数年の下げトレンドが出かねない。そうなると2年後の大統領選でトランプ大統領の勝ち目もなくなるかもしれない。トランプ政権としては厳しい選択を迫られることになりそうだ。

 日本の株式市場にとって大きいのは、日経平均株価への寄与度の高いソフトバンクグループ、そして2兆円超の大型上場となる子会社・ソフトバンクへの影響だろう。ソフトバンクのIPOについて、売り出し価格は1500円に決まった。だが、華為技術、ZTEとの関係が必要以上に嫌気されれば、上場後に株価が低迷するような展開もあるかもしれない。米国市場だけでなく、日本市場にとっても華為ショックがどこまで波及するのか、注視しておきたい。

文■田代尚機(たしろ・なおき):1958年生まれ。大和総研で北京駐在アナリストとして活躍後、内藤証券中国部長に。現在は中国株ビジネスのコンサルティングなどを行うTS・チャイナ・リサーチ代表。メルマガ「田代尚機のマスコミが伝えない中国経済、中国株」(https://foomii.com/00126/)、ブログ「中国株なら俺に聞け!!」(http://www.trade-trade.jp/blog/tashiro/)も展開中。

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