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2018.12.14 16:00  マネーポストWEB

「死後離婚」の法的メリット 相続権は失わず義親の扶養義務ゼロに

扶養義務にかかわる親族の範囲

 義理の夫などの親族と縁を切るために、亡き夫との関係を終了する「死後離婚」を選択する人が増えている。本籍地または住まいのある市町村役場で「姻族関係終了届」の用紙を受け取り、必要事項を記入して提出するだけ。拍子抜けするほど簡単だが、不仲な夫の家族と縁を切るという感情的な解放だけでなく、扶養の義務からも解放される法律上のメリットも得られる。

◆扶養の義務は3親等内の親族に

 民法第877条1項では、扶養義務は、原則として「直系血族」と「きょうだい」が負うとされている。つまり、血族ではない嫁に、義親の扶養義務は“原則として”ない。

 しかし例外的に「特別の事情」がある場合に限り、家庭裁判所は「3親等内の親族」にも、扶養の義務を負わせることがある(民法第877条第2項)。その対象には、血縁のない嫁はもちろん、父母や祖父母、曾祖父母、きょうだい、伯叔父母、甥姪といった、かなり幅広い範囲まで含まれる(図参照)。離婚問題に詳しい弁護士の佐藤みのりさんは、こう語る。

「夫の死後、義親の扶養義務は同居している嫁より、最も近い直系血族である夫のきょうだいが負うのが筋。しかし、直系血族らが生活苦などで扶養する能力がない場合、血のつながりはなくても“3親等内の親族”にあたる嫁に扶養してもらいたいと家庭裁判所に『扶養義務設定』を申し立てることも考えられます。

 生活に余裕があるというだけで認められることはほぼありませんが、これまでに嫁が物心両面で相当の恩恵を受けながら同居し続けているなどの背景があると“特別な事情”と判断され、義親の扶養義務を負わされる可能性があります。しかし、姻族関係終了届を提出していれば、親族ではなくなるため、扶養義務を負う可能性はゼロになるのです」(佐藤さん)

◆婚姻関係終了後届でも、子供の血縁は切れない

 千葉県在住の大田慶子さん(仮名・53才)は、40才のときに夫をがんで亡くした。

「余命わずかとわかった時点で、遺された家族にどんな選択肢があるのか調べ、姻族関係終了届の存在を知りました。夫の死から半年後に提出。義親のみならず、金に汚く自分の考えを押しつけてくる義妹とも縁が切れて清々しました。

 ただ、私の子供は義親らとの血縁関係を切ることができないので、何かあったら弁護士に相談するつもりです」(大田さん)

 相続は死亡とともに始まるため、姻族関係終了届を提出しても、配偶者は相続権を失うことはない。義父母の遺産の相続権は配偶者にはないが、祖父母と直系血族にあたる孫は、父親が受け取るはずだった遺産を代襲相続で受け継ぐことができる。

※女性セブン2018年12月20日号

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