がんを克服しながら精力的に活動(共同通信社)

「大事なのは病で体の自由が利かなくなったときに、自由な魂をどう働かせるか。ホーキング博士の例を見ても、車いすに縛りつけられていても脳は無制限に働くんだから、人間の精神性は無限なんです」

 二度目のがん克服から約三年経ったが、再々発の兆候はない。なかにし氏は、時間を見つけては趣味の読書や映画鑑賞に明け暮れる。

◆戒名を自分で決める幸せ

 飽くなき好奇心で精神を満たすと同時に、進めているのが「死の準備」だ。二度目の闘病の最中に「無礼庵遊々白雲居士」という戒名を決め、現在は自らの葬式のアイデアを練る。

「葬式という人生最後のイベントで何を着ようか考えます。いつもの黒い服は私の戦闘服だから葬式にそぐわないし、真っ白な死に装束も避けたい。紋付き袴にするかタキシードにするかと考え始めたら一日なんてあっという間に楽しく過ぎていってしまう。

 葬式なんて不要だとも思うけど、どうせ誰かが『お別れ会』を開くだろうから(苦笑)。人はすぐ、僕のヒット曲を流そうとするだろうけど、僕の葬式では御免被りたい。“終活”という言葉は軽いから嫌いだけど、自分の死という一生に一度のことを人任せにしたくないんです」

 そうしてがんを乗り越え、「やり残したことはない」と断言するなかにし氏が最後に強く望むのは、「がんで死にたい」ということだ。

関連キーワード

関連記事

トピックス

水原一平氏のSNS周りでは1人の少女に注目が集まる(時事通信フォト)
水原一平氏とインフルエンサー少女 “副業のアンバサダー”が「ベンチ入り」「大谷翔平のホームランボールをゲット」の謎、SNS投稿は削除済
週刊ポスト
解散を発表した尼神インター(時事通信フォト)
《尼神インター解散の背景》「時間の問題だった」20キロ減ダイエットで“美容”に心酔の誠子、お笑いに熱心な渚との“埋まらなかった溝”
NEWSポストセブン
水原一平氏はカモにされていたとも(写真/共同通信社)
《胴元にとってカモだった水原一平氏》違法賭博問題、大谷翔平への懸念は「偽証」の罪に問われるケース“最高で5年の連邦刑務所行き”
女性セブン
富田靖子
富田靖子、ダンサー夫との離婚を発表 3年も隠していた背景にあったのは「母親役のイメージ」影響への不安か
女性セブン
尊富士
新入幕優勝・尊富士の伊勢ヶ濱部屋に元横綱・白鵬が転籍 照ノ富士との因縁ほか複雑すぎる人間関係トラブルの懸念
週刊ポスト
《愛子さま、単身で初の伊勢訪問》三重と奈良で訪れた2日間の足跡をたどる
《愛子さま、単身で初の伊勢訪問》三重と奈良で訪れた2日間の足跡をたどる
女性セブン
水原一平氏と大谷翔平(時事通信フォト)
「学歴詐称」疑惑、「怪しげな副業」情報も浮上…違法賭博の水原一平氏“ウソと流浪の経歴” 現在は「妻と一緒に姿を消した」
女性セブン
『志村けんのだいじょうぶだぁ』に出演していた松本典子(左・オフィシャルHPより)、志村けん(右・時事通信フォト)
《松本典子が芸能界復帰》志村けんさんへの感謝と後悔を語る “変顔コント”でファン離れも「あのとき断っていたらアイドルも続いていなかった」
NEWSポストセブン
水原氏の騒動発覚直前のタイミングの大谷と結婚相手・真美子さんの姿をキャッチ
【発覚直前の姿】結婚相手・真美子さんは大谷翔平のもとに駆け寄って…水原一平氏解雇騒動前、大谷夫妻の神対応
NEWSポストセブン
違法賭博に関与したと報じられた水原一平氏
《大谷翔平が声明》水原一平氏「ギリギリの生活」で模索していた“ドッグフードビジネス” 現在は紹介文を変更
NEWSポストセブン
カンニング竹山、前を向くきっかけとなった木梨憲武の助言「すべてを遊べ、仕事も遊びにするんだ」
カンニング竹山、前を向くきっかけとなった木梨憲武の助言「すべてを遊べ、仕事も遊びにするんだ」
女性セブン
大ヒットしたスラムダンク劇場版。10-FEET(左からKOUICHI、TAKUMA、NAOKI)の「第ゼロ感」も知らない人はいないほど大ヒット
《緊迫の紅白歌合戦》スラダン主題歌『10-FEET』の「中指を立てるパフォーマンス」にNHKが“絶対にするなよ”と念押しの理由
NEWSポストセブン