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コラム

2018.12.20 16:00  マネーポストWEB

がん治療の沼 「なんとか直したい」で高額な民間療法に走るリスク

抗がん剤が効かなくなると民間療法に走るケースもあるが…

 がんの部位や進行具合、患者の体力や年齢、「根治」を目指すか「緩和」を望むか、といった要素によって“最善の治療法”は異なる。それゆえ、必ずしも「カネをかけたから治る」わけではなく、「高額の治療の治癒率が高い」ともいえない。

 たとえば、早期発見できた場合、保険治療で医療費の自己負担額が一定限度を超えた場合、超えた金額が支給される高額療養費制度を使って保険適用の治療を安く受けることができるうえ、根治できる可能性は高まる。

 しかし、一方ではこんなケースもあり得る。「がん治療費.com」を運営する笠井篤氏が指摘する。

「たとえば同じ抗がん剤を投与し続けた場合、『薬剤耐性』が出現して、抗がん剤が効かなくなることがあります。すると、保険診療の範囲でできる治療が少なくなり、まだ元気であっても緩和ケアだけということになる。

 それでも“なんとか治したい”という患者さんが、治療効果の医学的な裏付けがなされていない『民間療法』に走ってしまうのです。なかには、月額100万円といった金額を謳う民間療法もあり、経済的な余裕も精根も尽き果てて亡くなってしまう、ということになりかねません」

「先進医療」にも注意すべき点がある。粒子線治療の効果に、学会から疑義が呈されている事例もあるのだ。医療経済ジャーナリストの室井一辰氏はこう語る。

「2015年8月に厚労省の先端医療会議で、粒子線治療と通常の放射線治療との治療効果の差が認められないという報告がなされています。そもそも『先進医療』には、保険適用に向けた実績を積み上げるという実験的な側面もある。多額の費用を投じるに見合うだけの治療効果が得られるのか、現段階では確実なエビデンスがあるとは言い難い状況が続いています」

※週刊ポスト2018年12月21日号

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