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がん治療、同じステージでも自己負担額が大きく変わる理由

2018.12.22 15:00

 がんの治療などでは、保険治療で医療費の自己負担額が一定限度を超えた場合、超えた金額が支給される高額

 がんの治療などでは、保険治療で医療費の自己負担額が一定限度を超えた場合、超えた金額が支給される高額療養費制度によって患者の経済的負担は減るが、保険適用外の先進医療を行なう場合には、その治療費に高額療養費制度は適用されない。

 京都大学特別教授・本庶佑氏(76)のノーベル医学生理学賞受賞で一躍脚光を浴びた「オプジーボ」や「キイトルーダ」などの「免疫治療薬」はどうか。いずれも、がん治療の“第四の選択肢”として期待を集める治療方法だ。

 当初は高額な薬価がネックとされたが、現在は保険適用が広がり、一部のがんにおいて高額療養費制度が利用できる薬となった。医療に詳しいジャーナリストの村上和巳氏の指摘だ。

「現在、オプジーボは胃がん、非小細胞の肺がん、腎細胞がんなどの7つのがんに適用範囲が拡大されました。キイトルーダも、2016年にメラノーマで承認された後、肺がん、尿路上皮がんなど4種類のがんへの利用が承認されています。これらも、一般的な収入の方が高額療養費制度を使えば、月額約8万円の自己負担で使用できます」

 さらに、薬価引き下げの圧力も強まっている。高額治療費が国の医療財政を圧迫するためで、実際に当初は100ミリグラムあたり約73万円だったオプジーボだが、その後は同量で約36万円、約27万円と価格が下落し、11月には約17万4000円に改定されている。

「日本の薬価制度では、定期的に必ず薬価は下がります。免疫治療薬は大腸がん、食道がんなど患者の多いがんでも臨床試験が進められており、今後保険適用がさらに拡大しつつ価格も下がるはずです。オプジーボの投与量は1回240ミリグラムなので、2週に1回、1年間投与すると約1085万円かかる計算になりますが、今後2~3年のうちに1000万円を切るのではないかとみられている」(村上氏)

◆キイトルーダの奏功率は?

 ただし、高額だからといって「がんの万能薬」「魔法の薬」になるわけではない。

「オプジーボもキイトルーダも、ともに免疫の薬なので、関節リウマチや甲状腺機能異常症などの自己免疫系の疾患に既往歴がある人は使えません。

 また、原則として、再発や他の臓器への転移があり、もう手術ができない患者で使われるのが基本。それに加え、多くの場合はこれまで使われていた抗がん剤も使ったうえで効果がなくなった、他の治療法で手の施しようがない患者にしか使われません。抗がん剤治療に時間も費用もかかった末に、希望しても処方されないケースもあります」(村上氏)

 そもそもオプジーボやキイトルーダの処方対象となるがんに対しての奏功率は2~4割と部位によって異なる。がん治療においては、必ずしもかけた治療費と治療効果が比例するわけではないということだ。

 標準治療の限りを尽くしたが回復に至らず、あらゆる治療を試みて1000万円以上注ぎ込んでも治らない人もいれば、外科手術で根治すれば自己負担額は50万円未満で済むケースもある。しかもそれで何年生きられるかは患者の病状によって大きく違う。1~2年で亡くなる人もいれば10年、20年と元気に過ごす人もいる。

 がんになったら、治療のメリットとデメリットを比較することは当然だ。

 加えて各々の治療法にかかる総額を知り、治療費を支払い続けることができるのか、その治療費に見合った治療効果が得られるのかを“見積もり”できれば、その後の「がんと生きる人生」の計画も立てやすくなる。

※週刊ポスト2018年12月21日号

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