「5才になる娘が、パッケージに“果汁100%”と書かれたジュースを飲んですぐに、顔が真っ赤に腫れ上がり、発疹が出てしまったことがありました。急いで病院に連れていったところ、原材料には、娘がアレルギー反応を起こすものは含まれていなかったのですが、医師からは『表記されていない何らかの添加物に反応して、アレルギーの症状が出たのでしょう』と言われました。それからは怖くなって市販のジュースは飲ませていません」(都内在住の主婦)
郡司さんが指摘する。
「濃縮還元100%果汁ジュースの場合、水分を飛ばす濃縮工程で香りが損なわれてしまうため、香料が添加されます。その際、天然香料はコストが高くなるため、合成香料を使用する場合が多い。中には、人体に影響のある副作用を持つものもある。たとえば、りんごの香りをつける『酢酸イソアミル』は粘膜への刺激性があり、高濃度の場合、頭痛、疲労感を発生させる可能性があります」
◆“無添加さつま揚げ”に入った“添加物の王様”
さつま揚げやかまぼこなど、練り製品に添加される「リン酸塩」にも注意したい。
「魚を漁獲して船上ですり身を作る際、保存効果と増量効果のある添加物のリン酸塩を入れ込むことがあります。この場合もキャリーオーバーとなり、製品には表示されません。家庭の食卓に出回っている『無添加さつま揚げ』に実はリン酸塩が添加されているケースが多い。おせんべいは表面のしょうゆに、リン酸塩が添加されることもあります」(郡司さん)
リン酸塩は、あらゆる加工食品に使われ、“添加物の王様”と呼ばれる。大量に摂取するとカルシウム吸収を阻害して骨粗しょう症を招いたり、腎機能を低下させる恐れがあるとされる。郡司さんはずさんな管理体制に苦言を呈する。
「キャリーオーバーと加工助剤は『微量なので健康被害が出ない』というのが当局の言い分ですが、動物実験では被害が報告されている。そもそも、実際は添加物があるのに『無添加』という表示が許されるのは欺瞞でしかありません。
10年前に、化粧品は製造過程を含めてすべての成分を表示するようになりました。ほとんどの食品は、化粧品よりも配合物は少ない。添加物の全表示をやろうと思えばできるはずです。ある業者は『そんなことをしたらパッケージの裏側が添加物の名前で真っ黒になる』と苦笑いしたけれど、本当に消費者の安全を考えるならばやるべきです」