この定員厳格化のおかげで、私立大の定員割れは2015年の43.2%から2018年は36.1%に改善し、地方の大学でも定員の充足率が上がっている。ただ、入試が厳しくなったため、難易度50未満の大学で志願者が激増している。

 今の受験生は現役進学志向が強く、浪人しないような併願作戦をとる。もちろん経済的な問題もあるが、特に保護者の意見が大きい。ある進学校の進路指導教諭は、こういう。

「三者面談で、実力相応校をあと2校ぐらい受けておけば? と話したのですが、結果的にはスベリ止め校を増やし、合格したのがスベリ止め校だらけになった生徒がいました。理由を聞いたら、親が実力相応校ではなく、スベリ止めをたくさん受験するように勧めたからということでした」

 安全志向を演出しているのは保護者ということになる。予備校の講師も、「自分の受験時代は入試が厳しかった親が多く、子どもに合格できるところを勧めていることもある」と言う。難関大を目指して浪人生が出るのは例年のことだが、近年はどこも受からずに浪人する受験生も出てきているようだ。

 このような入試状況で、2019年は入学定員の1.0倍にするように文部科学省は求めている。しかも規模にかかわらず全大学だ。2018年の1.1倍から1.0倍に下がるため、合格者数はまた減ると見られていた。

 しかも、昨年までは文科省が決めた倍率を超えて入学させると、ペナルティが課されていた。国からもらえる助成金をカットしたのだ。事実、カットされた大学も出ている。大学の収入に占める助成金の割合が1割程度なことを考えると、やはり、この金額をもらえないのは厳しい。

 ところが、2019年は当初、予定されていたペナルティがなくなるため、それほど厳しく1.0倍に減らさないのではないかとみられている。つまり、合格者数の減少が鈍ると見られているのだ。

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