大阪人といえば「がめつい」というイメージも強いですが、これも戦後に作られたものです。1959年に公開された芸術座の舞台『がめつい奴』で初めて世に出た言葉で、台本を書いた劇作家・菊田一夫による造語でした。ごまかすという意味の「ガメる」を形容詞にしたのです。
釜ヶ崎の旅館を舞台にしたこの作品は、全編にわたり荒っぽい大阪弁で強欲な人々の暗闘が描かれている。興行的に大成功し、公演の模様がテレビでも中継されたため、大阪人のイメージとして全国に拡散していきました。
余談ですが、これらのことは京都を実態以上に品よく感じさせる一因にもなっています。大阪は便所、一方の古都・京都は床の間であるかのように。実際には大阪と京都の間に圧倒的な格差などないのですが。
※週刊ポスト2019年1月11日号