世界でいちばんおいしいコーヒーを淹れられるマシンを作ろう──家電メーカーのツインバードが、そんな思いから開発したのが『全自動コーヒーメーカー CM-D457B』(オープン価格、実勢価格約3万7800円前後)だ。
同社は30年前からフィルター式やサイフォン式など、さまざまなコーヒーメーカーを販売してきたが、従来のモデルは動作音が大きかったり、メンテナンスの手間がかかったりと、決して満足できるものではなかったという。そこで、2016年、胸を張って“世界一”といえる商品を作ろうと開発が始まった。
しかし、これまで培ってきた技術はあるが、味づくりに関する知識は専門外。書物を何冊も読み、コーヒーを淹れるまでの正しい作り方を調べた。すると、あらゆる本で「カフェ・バッハ」の店主、田口護さんの名前を目にした。田口さんは“コーヒー界のレジェンド”と呼ばれる存在で、日本にコーヒー文化を浸透させた第一人者だという。以降、田口さんの著書『田口護の珈琲大全』をもとに、開発を進めていった。しかし、味の正解にはなかなか辿り着けず、東京・南千住にある「カフェ・バッハ」へ乗り込んだ。断られるかもしれないという不安に駆られていたが、開発への熱意が伝わり、快諾してくれた。早速試作機を持ち込み、テイスティングをしてもらい、その都度課題を持ち帰り、改良を重ねた。
おいしいコーヒーを淹れるには、豆の粒度が揃っており、低温抽出で蒸らして丁寧にドリップすること──田口さんのアドバイスは的確で徹底していた。従来モデルのミルはプロペラを回して豆を粉砕する構造だったが、豆の粒が揃わない上に、高熱による負担を豆に与え、劣化してしまうというデメリットがあった。
そこで、低速にすることでコーヒーの香りを飛ばす原因となる摩擦熱を抑え、コーヒー豆を均一な大きさで挽くことができる「低速臼式フラットミル」を採用。抽出温度は、田口さんが推奨する「83℃」と、豆の鮮度や煎り具合によってより適した「90℃」に調整できるようにした。
ドリップシャワー噴出口には「内向きシャワー式ドリップ」を採用し、プロのハンドドリップを再現。6方向から噴出するシャワードリップで、コーヒー豆にまんべんなくお湯を行き渡らせ、深い味わいを最大限に引き出すことができる。また、ドリッパーと噴出口との間に約2cmのすき間を設け、ドリップしている様子を見られるようにした。こうして約2年の歳月を経て、昨年10月に発売した。
発売後は試飲会を開催し、ユーザーからは「コーヒーのおいしさで購入を即決した」「お手入れが簡単な点が嬉しい」と好評だ。
プロと職人の技を集結させた『CM-D457B』。五感で感じて淹れる“究極の一杯”を味わってみてはいかがだろう。
※女性セブン2019年1月17・24日号