第1次原政権1年目の2002年、全試合で4番を打って二冠王とMVPを獲得し、日本一の原動力になった松井は同オフにFA宣言をし、ヤンキースへ移籍。2012年限りで引退すると、2014年、2016年、2018年と3度にわたって春季キャンプで巨人の臨時コーチを務めてきた。現在、ヤンキースのGM特別顧問を務め、昨年の日米野球ではMLBオールスターチームのコーチとして来日している。
「巨人も松井氏に何としても監督になってもらいたい考えは変わらない。しかし、今の原監督とは根本的な野球観からして合わないのではないでしょうか」
松井氏は日刊スポーツの連載「野球の国から」の平成野球史編でこう語っている。
〈だれが理想のプレーヤーなのか。どういう選手なのか。どういう血が流れているのか。勝負事だから勝ったり負けたりする。もちろん、勝たなきゃいけないけど、巨人には長嶋さん、王さんのV9という、素晴らしい見本の歴史がある。巨人の強いDNA、それがファンに伝われば、勝っても負けても、応援してもらえると思います〉(1月10日付)
〈チームに流れている文化があるんです。それをどこまで大事にするのか。今は、そういうところにスポットライトを当てないですから〉(1月11日付)
松井氏のプロ野球人生を振り返る連載のなかで、自身の野球観が如実に現われている。今の巨人に最も欠けている“チームの文化を大事にする”という志向を松井氏が持っていることは間違いない。