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「フレーバービール」はなぜ不発に終わってしまったのか

 まずはトップメーカーのアサヒ。2018年4月17日から、ビール定義変更対応商品として「グランマイルド」を通年販売し、副原料にハーブの一種、レモングラスを使ったのが特徴だ。アルコール度数も高アルコールブームを反映してか、高めの7%に設定した、

 同年年初の事業方針説明会では、常務取締役マーケティング本部長の田中晃氏(当時)がこう語っていた。

「時間をかけてお酒を楽しむ飲用シーンはRTD(=缶チューハイなど)やウイスキーが占めていて、ビールの出る幕はありませんでした。なぜなら、美味しさに持続性があるものでなければダメだからです。

 通常のビールは注いだ後、時間の経過とともに麦のもったりとした不快な匂い、アルコール臭さが際立ってしまいますが、そこを、定義変更で新たな副原料を活用する技術と、不快な匂いを打ち消す要素を麦芽から引き出す技術とで掛け合わせ、解決したのが『グランマイルド』です」

 さらに、同社の平野伸一社長も次のように腕まくりしていた。

「単に(定義変更の商品数を増やして)バラエティさを揃えるという数合わせではなく、『グランマイルド』で本格的に攻め込むということです」

「グランマイルド」は「スーパードライ」などのスタンダードなビールと同じ価格帯だけに、販売目標も年間で150万ケース(1ケースは大瓶20本換算)という目標を掲げたのだが、結果は約44万ケースの販売にとどまった。今年年頭の事業方針説明会の際、平野氏の弁はこうだった。

「ビールの定義変更対応商品は当初、もっと盛り上がると思いましたが、想定ほどではなかった。『グランマイルド』は広告も打ちましたが、(思惑通りには売れなくても)広告を打たなければペイする。多様性の時代ですから、今後もこうした商品は展開していきます」

 アサヒの幹部も「当社がテスト販売した透明色の発泡酒(=『クリアクラフト』)の反響が大きかったのを見ると、個性的な商品や味わいへのニーズはあると考えられますので、 引き続き定義変更対応商品に限らず、潜在ニーズを見据えたチャレンジもしていきます」としている。

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