芸能

林家正蔵が襲名から14年、名跡はすっかり定着した

林家正蔵の魅力は?

 音楽誌『BURRN!』編集長の広瀬和生氏は、1970年代からの落語ファンで、ほぼ毎日ナマの高座に接している。広瀬氏の週刊ポスト連載「落語の目利き」より、九代目を襲名してから14年、林家正蔵が蓄積した力量でじっくり聴かせる代々の演目についてお届けする。

 * * *
 2005年、長瀬智也と岡田准一が主演したドラマ『タイガー&ドラゴン』と共に落語ブームを加速させたのが林家こぶ平の九代目正蔵襲名イベントだった。3月13日、石原プロや「六人の会」の支援を受けて上野・浅草で行なわれたパレード&お練りの見物人は14万人! 同年1月に十八代目中村勘三郎襲名のお練りが行なわれた直後ということもあり、マスコミはこの話題に飛びついた。

 当時、いわゆる「落語通」の間ではあれこれ言われたが、14年近く経つ今、当代正蔵の名はすっかり定着したと言えるだろう。

 その正蔵が2008年から国立演芸場で年に一度開いている落語会が「正蔵 正蔵を語る」。タイトルから先代正蔵(彦六)の演目に挑戦する会と思われがちだが、そうではなく、いろんな芸風の正蔵代々の演目をネタ下ろしする会なのだという。

 10回目となる昨年11月25日の「正蔵 正蔵を語る」で演じたのは『一眼国』と『小間物屋政談』。彦六の演目として知られる『一眼国』はともかく、『小間物屋政談』は少々意外だが、これは六代目の正蔵が演じた記録が残っている。

 両国の香具師が一つ目の子を捕まえに行く『一眼国』は、冒頭の香具師と六十六部の会話からラストの裁きのシーンまで一貫して怪談めいた雰囲気が醸し出されていて引き込まれる。香具師が広い原中を進んでいくと樫の木が現われ、一足ごとにあたりが暗くなり……というところからのスリリングな展開も真に迫っている。この手の噺がこれだけ似合っているとは意外な発見だ。

関連記事

トピックス

大谷翔平と妻の真美子さん(時事通信フォト、ドジャースのインスタグラムより)
《真美子さんの献身》大谷翔平が進めていた「水原離れ」 描いていた“新生活”と変化したファッションセンス
NEWSポストセブン
羽生結弦の元妻・末延麻裕子がテレビ出演
《離婚後初めて》羽生結弦の元妻・末延麻裕子さんがTV生出演 饒舌なトークを披露も唯一口を閉ざした話題
女性セブン
古手川祐子
《独占》事実上の“引退状態”にある古手川祐子、娘が語る“意外な今”「気力も体力も衰えてしまったみたいで…」
女性セブン
「What's up? Coachella!」約7分間、圧巻のパフォーマンスで観客を魅了(写真/GettyImages)
Number_iが世界最大級の野外フェス「コーチェラ」で海外初公演を実現 約7分間、圧巻のパフォーマンスで観客を魅了
女性セブン
《家族と歩んだ優しき元横綱》曙太郎さん、人生最大の転機は格闘家転身ではなく、結婚だった 今際の言葉は妻への「アイラブユー」
《家族と歩んだ優しき元横綱》曙太郎さん、人生最大の転機は格闘家転身ではなく、結婚だった 今際の言葉は妻への「アイラブユー」
女性セブン
天皇皇后両陛下、震災後2度目の石川県ご訪問 被災者に寄り添う温かいまなざしに涙を浮かべる住民も
天皇皇后両陛下、震災後2度目の石川県ご訪問 被災者に寄り添う温かいまなざしに涙を浮かべる住民も
女性セブン
今年の1月に50歳を迎えた高橋由美子
《高橋由美子が“抱えられて大泥酔”した歌舞伎町の夜》元正統派アイドルがしなだれ「はしご酒場放浪11時間」介抱する男
NEWSポストセブン
ドジャース・大谷翔平選手、元通訳の水原一平容疑者
《真美子さんを守る》水原一平氏の“最後の悪あがき”を拒否した大谷翔平 直前に見せていた「ホテルでの覚悟溢れる行動」
NEWSポストセブン
STAP細胞騒動から10年
【全文公開】STAP細胞騒動の小保方晴子さん、昨年ひそかに結婚していた お相手は同い年の「最大の理解者」
女性セブン
年商25億円の宮崎麗果さん。1台のパソコンからスタート。  きっかけはシングルマザーになって「この子達を食べさせなくちゃ」
年商25億円の宮崎麗果さん。1台のパソコンからスタート。 きっかけはシングルマザーになって「この子達を食べさせなくちゃ」
NEWSポストセブン
大谷翔平を待ち受ける試練(Getty Images)
【全文公開】大谷翔平、ハワイで計画する25億円リゾート別荘は“規格外” 不動産売買を目的とした会社「デコピン社」の役員欄には真美子さんの名前なし
女性セブン
逮捕された十枝内容疑者
《青森県七戸町で死体遺棄》愛車は「赤いチェイサー」逮捕の運送会社代表、親戚で愛人関係にある女性らと元従業員を……近隣住民が感じた「殺意」
NEWSポストセブン