人手不足解消のヒントは地方にある。例えば、共働き家庭の子育て支援が充実した島根県は、25歳~39歳の女性の就業率が47都道府県で1位、合計特殊出生率は2位だ。仮に日本全国で、学校を卒業した25歳以上の女性の就業率が島根県と同じ水準になれば、日本の就業者数は2020年時点でも、2015年の実数より371万人も増える。先に挙げた「2025年までに323万人の人手不足」を補えるうえ、出生率の向上も望めるのだ。
膨大な社会的コストと、日本社会の美徳を失うリスクと引き換えに低賃金の外国人労働者を増やすより、若い女性の就労と子育てを支援するほうが、はるかに日本の未来の希望になる。
【PROFILE】もたに・こうすけ/1964年、山口県生まれ。現職・日本総研主席研究員のほか、非常勤で日本政策投資銀行地域企画部特任顧問、NPO法人地域経営支援ネットワーク理事長を務める。『世界まちかど地政学』『完本 しなやかな日本列島のつくりかた』『デフレの正体』『里山資本主義』など著書多数。
◆取材・構成/池田道大(フリーライター)
※SAPIO2019年1・2月号