小笠原:ぼくはゴルフをちょっとやるぐらいと、あと、あくび体操ですね。両手を上げて「あ~あ」と声を出し、あくびをしながら手を下ろすんですが、あくび体操は、名古屋大学の総長も総長室でやっておられるかな?(笑い) それにしても、私はこれだけ奥様のことを思ってみえる男性は今まであんまり…。
垣添:私の妻は12才年上で、知り合った当時、既婚者だったんです。私の両親と激しいバトルになり、音信不通になりました。だから私と妻は、ふたりで助け合って生きていくという感じが非常に強かった。それだけに、すごい空虚感だったんですよ。妻が亡くなった後は、私はいつ死んでもいいと思って毎日生きています。
小笠原:それはやっぱり大事ですよね。メメント・モリ=死を忘れるな。死を見つめてこそ、今が輝きますし、しっかり生きることができる。
垣添:妻は78才で亡くなりました。だから私も78才までは生きようと思っていたんですが、この10年で男性の平均寿命が80才になって、じゃあ80才までは生きようと思い、今77才です。「そんなに元気なら80才ぐらい楽勝だよ」ってみんなに言われますけど(笑い)。
小笠原:楽勝でしょう。「いつ死んでもいい」というのが投げやりだったらダメですが、先生の場合は「覚悟」ですから。2018年にぼくのクリニックで在宅看取りをした84人のうち、ひとり暮らしのかたは14人いらっしゃったんですが、不思議なことに誰ひとりとして入院されずに希望通り、自宅で旅立たれました。
垣添:小笠原先生のようなかたがいれば、ひとりでちゃんと自宅で死ねるんですよ。
小笠原:お金があってもなくても、それほど覚悟がなくても、ひとり暮らしでも、これからはどんどん笑って旅立てる時代です。涙を浮かべながらも「笑顔でピース」で見送れる時代です。これぞ「なんとめでたいご臨終」ではないですか?
垣添:そうですね(笑い)。
※女性セブン2019年1月31日号