「乳がんは40才から60代前半がピークでその後は減少します。マンモグラフィーは放射線被ばくのリスクもありますから、遺伝が疑われない場合は必要以上に検診を受けるのは避けた方がいいです」(増田さん)
推奨外の「視触診単独法」や「超音波検査」はメリットよりもリスクの方が上回る。医療法人社団進興会理事長の森山紀之医師が語る。
「視触診は医師の裁量、経験の差が大きく、若い医師ほど精度が低い傾向がある。また超音波検査は、高濃度乳房と呼ばれる乳腺が多い人には有効ですが、塊になりきっていない石灰化したがんを見つけられなかったり、乳腺症や良性の腫瘍をがんと診断する可能性があります。精度を高めるにはマンモグラフィーとの併用が望ましいです」
乳がんは特殊型や判断しづらい形状の腫瘍が多く、検査法や医師の技量で見落とされることもある。
◆大腸がん
食生活の欧米化に伴って増加し、女性のがん死亡率1位とされる大腸がん。厚労省が推奨するのは「便潜血検査」、いわゆる検便だ。東京国際クリニック副院長で、消化器内科医の宮崎郁子医師はこう話す。
「エビデンスもあり、患者側の負担が軽いので必ず受けるべきです。しかし、まれに切れ痔などで便に血が混じって要精密検査となることがあります。陽性の場合は、精度の高い内視鏡検査を受けて確かめることをおすすめします」
ではなぜ「全大腸内視鏡」は推奨外なのか。
「医療費と医師の人材確保などの問題から、通常検診では便潜血検査が行われています。大腸の内視鏡は下剤約2Lを服用するため患者の負担が大きく、出血や腸管穿孔などの合併症の報告もあります。医師と相談して決めるといいでしょう。注腸X線は被ばくの問題はありますが、内視鏡が困難なかたにおすすめしたい検査です」(宮崎医師)
リストにはないが、宮崎医師は「大腸CT」を推奨する。
「内視鏡の約10分の1程度の下剤で済み、10~15分で検査が終わります。被ばく量も通常のCTの半分程度です。まだ行っている施設は限られますが、ひとつの選択肢にしてほしい」(宮崎医師)
※女性セブン2019年1月31日号