◆子宮頸がん
子宮頸がんは20代後半~40代で発症することが多い。原因は90%以上が性行為によるHPV(ヒトパピローマウイルス)の感染だ。
だがHPV感染の有無を調べる「HPV検査」は推奨しないとされている。産婦人科医の高橋怜奈医師が解説する。
「HPVには多様な型があり、9割の人が生涯に一度は感染するものです。そのうち、がんを引き起こすハイリスク型に感染しても、多くは感染後しばらくすると消えてしまい、長期感染したごく一部の人ががんを発症すると考えられています。そのため、HPV検査と死亡率の因果関係のデータが少なく、そのことが推奨外の理由でしょう」
一方で、子宮頸部の粘膜を採取して、がん細胞の有無や種類を診断する「細胞診」は推奨される。
「細胞診で細胞を見ると、がんはもちろん、がんの前段階で発見できます。早期発見・早期治療をすれば、多くは子宮を残せるので、性交経験のある女性は毎年受けてほしい」(高橋医師)
がん治療のカギを握るのはもちろん早期発見だが、一度の検査で陰性だったからと安心してはならない。
「がん検診の本当の落とし穴は、一度『異常なし』の判定が出ると多くの人が安心して検診に行かなくなってしまうこと。数年後に何かのきっかけでがんが発見され、かなり進行しているケースは少なくありません。推奨されている検査は必ず定期的に受診し、場合によっては医師の助言などをもとに推奨外の検査も受診することが必要です」(森山医師)
正しい検診を正しく受ければ、がんを早期発見できる。
※女性セブン2019年1月31日号