「災害時にどこが責任を持つか。おそらく(コンセッション)契約の中身が、その想定に入っていなかったのだと思います。国も対応が決まっていなかったので、初めはオリックスさんとヴァンシさんでやってくださいよとなった。いや、それは国でやることでしょう、とお互い押し付け合いになる。それで混乱したのでしょう。戦争や大規模震災などの有事では、空港という重要インフラは国が一義的に責任を持たなきゃいけない。それを契約のときに決めておく必要があるのです」
さすがに関空を民営化した張本人だけに、あからさまに「コンセッションの失敗だ」とは言わない。
「衆院本会議場での隣がたまたま石井啓一国土交通大臣なので、国土交通大臣経験者同士として話す機会がありました。で、関空のほか、自然災害によるインフラ整備は国費でテコ入れすると言っていました。ああいう災害が起き、検証できて対応策がとれたのだから、むしろ私はよかったんじゃないかと思います」
しかし前号で書いた通り、その検証作業は4か月経た今でも、さほど進展した様子がない。そもそも放っておいてもインバウンドで利益が上がるなら、コンセッションによる民営化が必要だったのかどうか。そんな疑問すら湧く。
◆「竹中先生が連れてきた」
このコンセッションの旗振り役が、昨年11月まで官房長官補佐官だった福田隆之である。昨年暮れの臨時国会で、水道民営化の推進役としてその存在が取り沙汰されたが、一般にはあまり知られていない。
1979年千葉県生まれの39歳。福田は2002年3月に早大教育学部を卒業し、野村総合研究所に入社して公共事業の政策を研究するようになったという。いったいどんな人物なのか。