視聴者の耳に残って離れない「おい!」「よしよしよし!」の2~3倍も「ドリブル」と言ったのである。後半開始直前、松木氏はこう言った。
「あとはね、僕、ドリブルだと思いますよ。ドリブルでね、向こうの陣形を崩す。そっから、ワンツーとか、周りのコンビネーションでいったらいいんじゃないかと思いますね」
◆PKでの先制直後、一転「ドリブル推し」を止めた
後半キックオフの笛が鳴っても、変わらない。
4分33秒:やっぱり、ドリブルですよ。
4分43秒:相手に突っかけてくドリブルってのがね。
4分50秒:仕掛けるドリブルがね、ないんですよ。
わずか17秒のあいだに3回も「ドリブル」と言い放つ場面もあり、後半5分から6分の間には「突っかけていく」「突っかけていく」「突っかけていって」「突っかけていって」と4回も繰り返すなど、なかなかドリブルで仕掛けない日本に苛立っているようだった。
7分、ようやく松木氏理想の展開が生まれる。
原口のスルーパスをペナルティエリア内で受けた堂安が突っかけると、ベトナムの選手に倒される。直後は笛が鳴らず、プレー続行となったが、VAR(ビデオ・アシスタント・レフェリー)が使用され、PKの判定に覆る。
これには、松木氏も「はっはっはっはっはっはっは! 良かった、良かった」と大喜び。堂安がPKをキッチリ決めて、日本が先制する。松木氏が提唱し続けたドリブル作戦が功を奏する形となった。