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2019.01.30 07:00  マネーポストWEB

ファーウェイ副会長が米国に引き渡しされた場合の世界経済への深刻な影響

ファーウェイ副会長の身柄引き渡しが実現するとどうなるか?(Getty Images)

 アメリカ司法省は28日、カナダ当局が逮捕した華為技術(ファーウェイ)の孟晩舟副会長を起訴したと発表、アメリカへの身柄引き渡しを正式要請している。

 26日、カナダのトルドー首相はジョン・マッカラム駐中国大使を解任している。大使は中国語メディアに対して、「アメリカの引き渡し要請には重大な欠陥がある」などと述べたことが問題視された。

 すでに、中国側はカナダ人2人を拘束しており、さらに1人について死刑を言い渡している。今後、カナダがアメリカの要請を聞き入れた場合、中国側はさらに厳しい対抗措置を採るとみられる。

 1月22~25日に行われたダボス世界経済フォーラムに出席した中国銀行の朱民副総裁はメディアの取材に対して、「世界最大の通信設備サプライヤーである華為技術に対して国際市場が厳しい審査体制を敷くのであれば、中国はシリコンバレーへの投資をすべて削減するかもしれない」と発言している。

 そのうえで、「中国ハイテク業界のトップである華為技術は一部の西側政府から大きな制限を受けている。米中が長期の貿易戦争に陥る瀬戸際であり、今回の衝突がいわゆる技術戦争に発展するのではないかと市場参加者は危機感を募らせている。人々の心理状況は実際に変化がみられる。アメリカ資本に目が向くかもしれないが中国資本による投資も同じように目覚ましい。事件が発生すれば、中国からシリコンバレーへの資金流入は停止し、アメリカが中国に投資することはできなくなるだろう」などと強調している。

 百度(バイドゥ)、アリババ、テンセントはシリコンバレーでの中国最大クラスの投資家である。また、中国系のベンチャーキャピタルもシリコンバレーに巨額を投じている。そうした投資家は自分たちもいつ制限を受けるかわからないといったリスクを抱え、今後アメリカへの投資を控えることになるかもしれない。

 米中の経済体は両国市場という土壌にお互い深く根を張ってしまっている。アメリカが中国との関係を切り離すことで、その台頭を阻もうとすると、アメリカ自身も大きな悪影響を覚悟しなければならない。

 それはアメリカ経済の最も競争力のある部分に影響を与えるものであり、中国経済はもとより、世界経済全体への影響も計り知れない。

 交渉の責任者である劉鶴副首相は現地時間28日午後にはワシントンに到着している。中国人民銀行の易綱総裁、国家発展改革委員会の寧吉喆副主任など関連部署の実務者トップクラスが帯同しており、当初の予定では30、31日であるが、間もなく、貿易協議が行われる見込みである。今回の引き渡しの件は、アメリカ側の交渉を有利に導こうとする策略の一つだろうとは思うが、一抹の不安は拭い去れない。

文■田代尚機(たしろ・なおき):1958年生まれ。大和総研で北京駐在アナリストとして活躍後、内藤証券中国部長に。現在は中国株ビジネスのコンサルティングなどを行うTS・チャイナ・リサーチ代表。メルマガ「田代尚機のマスコミが伝えない中国経済、中国株」(https://foomii.com/00126/)、ブログ「中国株なら俺に聞け!!」(http://www.trade-trade.jp/blog/tashiro/)も展開中。

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