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2019.01.30 17:00  マネーポストWEB

サンバイオ株大暴落、新興市場に広がる“バイオハザード”の着地点は

1月30日、東証マザーズ指数は8%安に。新興市場の行方はどうなる


 1月30日、新興市場が急落に見舞われた。そのきっかけとなったのは、東証マザーズ全体の10%超の時価総額を占めるリーディング・ストックであったバイオベンチャー、サンバイオ(マザーズ・4592)の株価大暴落だ。

 同社が大日本住友製薬と共同開発している慢性期脳梗塞を対象とした再生細胞医薬品「SB623」が米国のフェーズ2b臨床試験で「主要評価項目を達成できなかった」と1月29日に発表。それまで治験成功に大きな期待が寄せられ、株価は昨年11月の3600円台から1月21日には3倍超となる一時1万2000円台をつけるなど駆け上がってきた。

 しかし、発表翌日となる30日の株式市場では1200万株もの大量の売り注文が殺到し、前日終値1万1710円からストップ安となる8710円(25.62%安)で比例配分となり、翌日以降も株価下落は避けられない情勢だ。

 サンバイオ株の失望売りに伴って、大日本住友製薬(東証1部・4506)が30日にストップ安の3065円となったのをはじめ、他のバイオ関連株もそーせいグループ(マザーズ・4565)が11.05%安、ヘリオス(マザーズ・4593)が12.84%安になるなど影響が広がっている。カブ知恵代表の藤井英敏氏が語る。

「サンバイオ株の直近の信用買い残が344万株まで積み上がっていたように、個人投資家の信用買いが多い銘柄で、なおかつ個人投資家のなかには同社株を担保に他のバイオ関連株を全力2階建てで買っているようなケースも多く、大量の追証(追加証拠金)が発生するのは必至の状況です」

 こうした事情から、サンバイオ株のみならず、他のバイオ関連株も総崩れする“バイオハザード”と化している格好だ。マザーズ上場の他のバイオ関連株の連れ安もあって、30日のマザーズ指数は前日の961.19ポイントから883.39ポイントへと8%安に見舞われている。

 そもそもバイオ関連株の多くは赤字企業で、将来への期待値から一気に株価が高騰する反面、期待された治験が失敗となれば暴落する傾向が強い。思い起こされるのは2016年5月に発生した「アキュセラ・ショック」だ。当時、バイオベンチャーとして期待の高かったアキュセラ株は同年5月25日に一時7700円台の上場来高値をつけたが、治験失敗の発表を受けて6日連続のストップ安を記録し、2000円を割り込むなど底なしの様相を呈し、その後は上場廃止となった。

 はたしてサンバイオ株はどうなるのか。新興市場に詳しいグローバルリンクアドバイザーズ代表の戸松信博はこう見る。

「アキュセラの治験失敗時と違うのは、サンバイオではもう一つ別のプログラム(慢性期外傷性脳損傷プログラム)で良好な治験結果が出ており、上市の可能性が高くなっていることと、昨年夏に110億円もの増資を完了させ、今後の治験を進める資金的余裕もあることです。このため、価値がまったくなくなってしまうというわけはありませんが、失望感は強く、今後の事業的価値(=期待)はいったん大きく低下したと言わざるを得ません。米国で行なっていた脳梗塞プログラムの方がはるかに商業的価値が大きいと見られていたからです」

 それでは今後のサンバイオ株、そしてマザーズ市場はどう動くのか。藤井氏の見方だ。

「サンバイオ株については、大手証券のアナリストが1500円を予想していますが、これだけ失望売りが膨らめば1000円割れになる可能性すらあります。それに伴って他のバイオ関連株も連れ安が続くでしょうし、マザーズ指数への影響も、それこそ日本から富士山がなくなるようなインパクトですから、年初来安値(789.79ポイント)を割り込む可能性もあります。

 もっともこれが、すべての個人投資家に冷や水を浴びせるわけではありません。大きなダメージを受けるのは、同社をはじめとするバイオ関連株に群がってきた一部の“投機家”です。サンバイオ株が本当の実力に見合った株価まで下がっていくと時価総額も大きく減り、それに伴いマザーズ市場へのインパクトも希薄化していくので、マザーズ全体が下がり続けるのではなく、どこかで止まるとは見ています」

 一方、戸松氏はこんな見方をする。

「東証マザーズ指数の大幅な調整は避けられない見通しですが、世界を見渡すと、米国では小型株の指数であるラッセル2000指数や米国上場の半導体関連で構成されるフィラデルフィア半導体企業株指数が反発基調を保っていたり、中国株が景気刺激策や通商協議の進展期待で底打ちしてきています。

 米国の金融政策や米中通商協議の結果にもよりますが、世界的に堅調な株価推移が今後も続く可能性はあると考えます。そう考えていくと、今後、新興市場の優良銘柄が大幅に調整した局面は買いチャンスととらえることもできると思います」

 これまでサンバイオ株が牽引してきた新興市場は、新たな局面を迎えようとしている。

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