ライフ

インフルエンザの感染拡大を防ぐ「免疫保持者」の割合は?

年々、感染者数が増加傾向にあるインフルエンザ

 全国的にインフルエンザが猛威をふるっている。インフルエンザには、ワクチン接種による感染の予防効果があるとされているが、「時間がない」「効かない」などの理由で受けない人も多い。『できる人は統計思考で判断する』(三笠書房)著者でニッセイ基礎研究所上席研究員の篠原拓也氏が、インフルエンザなどの感染症の予防接種について、集団免疫の効果を数理的に解説する。

 * * *
 はるか昔から、人類は感染症にさいなまれてきた。現代は公衆衛生が向上し、予防接種が浸透しているが、それでも多くの感染症が発生している。

 感染症の中でも、毎年、世界的な拡大を見せるのがインフルエンザだ。日本では、毎年、秋から冬にかけて、インフルエンザの感染者が増加する傾向がある。疫学の研究者の間では、感染症に関する数理モデルが研究されている。その中で、感染症を定量的に分析する手法がいくつか示されている。そこで用いられる概念や用語について、みていくことにしよう。

 まず、「基本再生産数」という用語がある。Roという記号で、英語でアール・ノート(R naught)と呼ばれる。ある感染症にかかった人が、その感染症の免疫をまったく持たない集団に入ったときに、直接感染させる平均の人数を表す。

 もし、Roが1より大きいと、感染は拡大する。1より小さければ、感染はいずれ収束する。ちょうど1なら、拡大も収束もせず、風土病のようにその感染地域に根づくことになる。

 過去に発生した感染症のRoの値は、どのくらいだったのだろうか。医療や公衆衛生関係の研究機関でさまざまな分析が行なわれている。アメリカ疾病予防管理センターによると、はしかは12~18、天然痘やポリオは5~7、おたふくかぜは4~7などとされている。

 また、別の研究では、1918年に発生して世界的に流行したスペイン風邪(インフルエンザ)について、Roは2~3だったとのレポートもなされている。

 なお、1つ気をつけなくてはならない点がある。それは、Roは感染症が発生した時代背景、社会、国、病原体などによって異なるということだ。

 それでは実際に、Roを計算するには、どうしたらよいだろうか。

関連キーワード

関連記事

トピックス

水原一平氏のSNS周りでは1人の少女に注目が集まる(時事通信フォト)
水原一平氏とインフルエンサー少女 “副業のアンバサダー”が「ベンチ入り」「大谷翔平のホームランボールをゲット」の謎、SNS投稿は削除済
週刊ポスト
解散を発表した尼神インター(時事通信フォト)
《尼神インター解散の背景》「時間の問題だった」20キロ減ダイエットで“美容”に心酔の誠子、お笑いに熱心な渚との“埋まらなかった溝”
NEWSポストセブン
水原一平氏はカモにされていたとも(写真/共同通信社)
《胴元にとってカモだった水原一平氏》違法賭博問題、大谷翔平への懸念は「偽証」の罪に問われるケース“最高で5年の連邦刑務所行き”
女性セブン
富田靖子
富田靖子、ダンサー夫との離婚を発表 3年も隠していた背景にあったのは「母親役のイメージ」影響への不安か
女性セブン
尊富士
新入幕優勝・尊富士の伊勢ヶ濱部屋に元横綱・白鵬が転籍 照ノ富士との因縁ほか複雑すぎる人間関係トラブルの懸念
週刊ポスト
《愛子さま、単身で初の伊勢訪問》三重と奈良で訪れた2日間の足跡をたどる
《愛子さま、単身で初の伊勢訪問》三重と奈良で訪れた2日間の足跡をたどる
女性セブン
水原一平氏と大谷翔平(時事通信フォト)
「学歴詐称」疑惑、「怪しげな副業」情報も浮上…違法賭博の水原一平氏“ウソと流浪の経歴” 現在は「妻と一緒に姿を消した」
女性セブン
『志村けんのだいじょうぶだぁ』に出演していた松本典子(左・オフィシャルHPより)、志村けん(右・時事通信フォト)
《松本典子が芸能界復帰》志村けんさんへの感謝と後悔を語る “変顔コント”でファン離れも「あのとき断っていたらアイドルも続いていなかった」
NEWSポストセブン
水原氏の騒動発覚直前のタイミングの大谷と結婚相手・真美子さんの姿をキャッチ
【発覚直前の姿】結婚相手・真美子さんは大谷翔平のもとに駆け寄って…水原一平氏解雇騒動前、大谷夫妻の神対応
NEWSポストセブン
違法賭博に関与したと報じられた水原一平氏
《大谷翔平が声明》水原一平氏「ギリギリの生活」で模索していた“ドッグフードビジネス” 現在は紹介文を変更
NEWSポストセブン
カンニング竹山、前を向くきっかけとなった木梨憲武の助言「すべてを遊べ、仕事も遊びにするんだ」
カンニング竹山、前を向くきっかけとなった木梨憲武の助言「すべてを遊べ、仕事も遊びにするんだ」
女性セブン
大ヒットしたスラムダンク劇場版。10-FEET(左からKOUICHI、TAKUMA、NAOKI)の「第ゼロ感」も知らない人はいないほど大ヒット
《緊迫の紅白歌合戦》スラダン主題歌『10-FEET』の「中指を立てるパフォーマンス」にNHKが“絶対にするなよ”と念押しの理由
NEWSポストセブン