だが、今回、私が「ちょうどいい」と高評価しているのは彼女が出演するCMなのである。これまで、かなりのCMに出演してきた小池が現在契約中なのは、「キリン」「リクルート」「味の素」「大正製薬」「ユニ・チャーム」、そして「スカパー!」。
中でも、よく見かけるのが、豚バラ大根の大根に10分で味が染みるワケがない…と疑いながら調理する「味の素 Cook Do きょうの大皿」。これまで秘書役の夏目三久との共演が多かった議員役の堺雅人が帰宅した際、リビングでスカパー!視聴に興じる妻役を演じる「スカパー!」。そして、女性合唱団の指揮者に扮する「チャームナップ吸水さらフィ」だろう。最近は見かけないが、「資生堂 専科」のCMも印象に残っている。
小池の実年齢は38才。夫は元プロレスラーの坂田亘で、子供はいないが、CMでは「ママ」としての出演が増えつつあるし、決して高価ではない基礎化粧品やナプキンといった女性向け商材のCMにもぴたりとハマっているのだ。
その理由こそが、小池のもつ「ちょうどいい」ルックスだったり、雰囲気にあるのではないか。髪をロングから現在のボブにし、衣装とはいえ、カジュアルな装いがよく似合っている小池は、美人すぎず、華やかすぎず、本当に「Cook Do」で豚バラ大根を煮込んでいそうだし、帰宅した夫に肩をマッサージさせていそうな気がする。
ドラマや映画以上に、CMでのママ役、妻役というのは、スタッフらがキャスティングに悩むところだろう。特に「家庭」や「家族」、そして若くはない「女性」が主人公のCMは、少しでも“上から目線”のように見えたら終わり。ミョーに“オンナ”が出てしまっても、女性視聴者にはソッポを向かれてしまうのだ。たとえ、お酒やクルマのCMであったとしても、スーパーに買いに行ったり、購入時、意見を言ったりするのは女性だからである。
そう考えたとき、いまの小池は、やっぱり「ちょうどいい」のである。昔と違って、プライベートに一点の曇りもなく、順風満帆すぎる女性タレントは、「白々しい」「わざとらしい」と嫌われてしまう可能性もあるいま。夫のために健気に頑張っている感が強い小池は、「ちょうどいい」好感度というワケだ。
実は、アラフォーになると、女優の中には、仕事が激減してしまうタイプが少なくない。その多くは、「母親役にハマらなかった」という理由なのだが、小池はそれもなんなくクリア。CMでここまで「ちょうどいい」母親役を演じられたということは、ドラマや映画でも、演出家たちは安心して小池を起用できることだろう。
庶民的にも見える、「ちょうどいい」ルックスにも恵まれ、ファストファッション風のカジュアルも自然に着こなせてしまう「ちょうどいい」カンジも持ち合わせる小池。彼女の40代は明るいと思う。小池栄子にとって「ちょうどいい」は最高の誉め言葉なのである。