その開高さんの本の中でもっとも強烈だったのが『ベトナム戦記』。戦争の最前線に飛び込み、自らも生きるか死ぬかの目に遭いながら、蟻の目でつまり地べたを這うようにして世界を見てきた。その圧倒的なリアリティが凄い。イデオロギーを抜きにして人間の本質を見ていた人なのだと思います。開高さんの生き様は励みになりましたね。しかも、「日本語の魔術師」と言いたいくらい表現力が豊かで、独特なのも魅力です。

 読書というのは、僕にとっては心と頭脳の最高の運動です。脳みそに汗をかくくらい夢中になって読める本に出合うと、最高の幸せを感じます。

【プロフィール】みうら・ゆういちろう/1932年青森県生まれ。クラーク記念国際高校(通信制)校長。北海道大学獣医学部卒業。世界七大陸最高峰からの滑降、70歳、75歳、80歳でのエベレスト登頂などに成功。今年1月21日に南米最高峰アコンカグア(6962m)に登頂し、その後スキーで滑降することを目指す。

※SAPIO2019年1・2月号

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