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2019.02.10 07:00  女性セブン

当代随一の人気歌人、東直子と穂村弘対話集『しびれる短歌』

歌人で小説家の東直子さん(撮影/藤岡雅樹)

【著者に訊け】東直子さん/『しびれる短歌』/筑摩書房/907円

【本の内容】
〈短歌を作るのは楽しいけど、うまくいかないと苦しい。短歌を詠むのは楽しいけど、慣れないと難しい。無条件に楽しいのは短歌について話すこと。というわけで、友だちの歌人、東直子さんとあれこれ語り合ってみました〉と、穂村弘さんは「まえがき」の冒頭に記した。2人が持ち寄る短歌は、扱うテーマも表現も実に幅広い。ニヤニヤしながら読めて、ムクムクと創作意欲が湧いてくる。

 穂村弘さんとの対談形式で、新旧のさまざまな歌を紹介しながら短歌の世界へと誘う。恋の歌、食べ物の歌、時間やお金の歌など、テーマに沿って選ばれた歌は時代をとらえ、鮮やかに映し出す。

「『今回は恋の歌を集めよう』などと決めて、何度かに分けて話したので、結構、時間がかかっています。『トリッキーな歌』も集めたし、編集者の要望で『歌人ってどうやってなるの?』という話もして、いろんな角度で楽しんでもらえたら、と思いながら作った本です」

「恋の歌」の中で紹介されるのはたとえばこんな歌。

したあとの朝日はだるい 自転車に撤去予告の赤紙は揺れ
岡崎 裕美子

 おそらくはセックスの後で、女性が感じているのは、恋の喜び、高揚感とはほど遠い。

「われわれの若い時は、若さイコール恋の歌という感じでしたが、いまは若いからといって必ずしも恋を歌うわけではない。現実のシビアさだったり、高揚ではなく平熱の歌だったりしますね」

たぶん親の収入超せない僕たちがペットボトルを補充してゆく
山田 航

 現実より素敵に表現してしまう「素敵バイアス」はこれまで名歌を名歌たらしめてきたが、現代的な目で見直すと、作者の気取りや自己陶酔に映ることも。新聞歌壇の選者としてアマチュアの歌にも日常的に触れている2人は、投稿歌も先輩歌人の歌も同じ視線で、その歌ならではの面白さを紹介、時に辛口の批評もする。

「平成のはじめに短歌を始めた穂村さんも私も、過渡期にいたんですね。文語旧かなの歌の良さも味わいつつ、口語短歌の新しい可能性を広げていった。両方が見える場所にいるのかなと思います」

 ウィキペディアの記述で偶然、五七五七七になる部分を取り出したもの、数式だけのこんな歌も。

(7×7+4÷2)÷3=17
杉田 抱僕

 どう読むか、わかりますか?

◆取材・構成/佐久間文子

※女性セブン2019年2月21日号

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