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日本の“暗黙ルール”から解放… 海外移住した女性が得た「新しい自分」

2019.02.11 13:00

 SNSには、日本に住んでいることの息苦しさを吐露する者も少なくない。「日本クソ」「日本脱出」「日本

 SNSには、日本に住んでいることの息苦しさを吐露する者も少なくない。「日本クソ」「日本脱出」「日本の未来に絶望」といった言葉も躍るなか、実際に日本から海外に移住した人はどのような感想を持っているのか。タイに移住したデザイナーの20代女性Aさんは、「解放された」と話す。

「海外に移住して、日本の暗黙の了解とでもいうべき“圧”から解放されたことを実感しています。私は『ちゃんとしていないとダメ』『空気を読め的な同調圧力』『謙虚が美徳』といった感じが嫌いで、学校でも職場でも、ずっと馴染めずにいました」

 もともとAさんは海外旅行が好きで、大学生時代から諸外国をめぐっていた。そのなかでタイを訪れたとき、「空気がゆるい。みんな楽しく働いている」と衝撃を覚えたという。Aさんいわく、それは社会人生活が迫る中で、「社会人としてちゃんとしなきゃ生きていけない」というイメージからはかけ離れたものだった。

 ぜひタイで生活したいと思ったAさんは、美術系の大学を卒業後、アパレル企業で販売員として働きながら、3年間お金を貯めた。上司にも「3年働いたらやめます」と言い切っていたほど、移住に真剣だったという。そんな中、同棲していた恋人とも別れる覚悟でタイへの移住計画を告げると、意外にもあっさり受け入れてくれた。

「無理だと言われるかと思っていたら、『俺もタイに行くわ』と、こちらが拍子抜けするほどでした。しかも、エンジニアの彼は私よりも早く就職先を見つけて、先にタイに行ってしまったんです。その後、私もタイ語を学ぶ語学留学先とデザイン系の求人を見つけ、移住計画が着々と進み始めました」(Aさん)

 タイに移住して印象的だったのは、やはりその価値観の違いだという。

「日本はワンオペ育児・家事が問題になっていますが、タイではお手伝いさんを雇って一緒に育てるイメージ。女性がキャリアを犠牲にすることなく働ける。その人のあるがままを他人が自然に受け入れるというか…。LGBTについてもそう。例えば見た目は明らかに男性だけど、普通に女子トイレに入る人を見ても、タイ人はみんな何も言いません」(Aさん)

 タイでの生活にほれ込んだのは、物価の安さも大きい。

「タイでは、外国人の最低賃金は1か月5万バーツ(約16万円)が基準になっています。この金額は、タイでは十分すぎるほど。というのも、本当にお金がかからない。屋台のラーメンは約100円。グリーンカレーは約120円。タクシーの初乗りは約120円。通信費は1年間、4Gを通信制限なし使い放題で6000円くらい。毎月の家賃もプール・ジム付きで約3万円で住めます」(Aさん)

 そんなAさんの生活に、日本の友人も影響を受け始めているという。Aさんと学生時代から友人だったイラストレーターのBさんは、久しぶりに再会したAさんが、タイ移住以前よりも明るく社交的な性格になっていたことに驚き、自らもタイに興味を持った。

「タイに行ってわかったのは、日本人はまじめすぎで頑張りすぎだということ。帰国後、つくづく『私は何と戦っていたのか』と思った。それから、『何が自分の幸せなのか』と改めて考える機会になりました。

 なんというか、生きるハードルがグッと低くなりました。少し力を抜いて楽しく働き、その“余力”でプライベートを充実させる。でも、日本はその余力が“悪”とされがちなんですよね」(Bさん)

 今後、今やタイ語がすっかり堪能なAさんは日系企業との取引を模索し、起業も視野に入れている。だが、Aさんは、必ずしも移住が「正解」ともいえないと釘を刺す。重要なのは価値観を固定化させないことだという。

「SNSで『日本脱出』などとつぶやける人はまだいい。知らず知らずに日本独自の圧力に萎縮してしまい、自信をなくしている人もいる。漠然とつらいと感じているなら、海外旅行などして、こういう生き方や価値観が許される場所があることを知るだけでも、日本での生活が少し楽になるはず。自分を追い詰めないでほしい」(Aさん)

 自らの居場所は日本だけとは限らない。柔軟な思考と行動力が、これからの時代を生き抜くカギともいえるのかもしれない。

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