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2019.02.18 08:51  産経Biz

有機野菜EC直販で農家に恩恵 ビビッドガーデン・秋元里奈社長

有機野菜EC直販で農家に恩恵 ビビッドガーデン・秋元里奈社長


 食の安心・安全への関心が高まるとともに、有機野菜が注目されている。一方で、全国の耕地面積でみると有機農場は0.4%と推計され、国際的にも低い水準となっている。ビビッドガーデンは電子商取引(EC)による有機野菜の直販で、生産者の収入増を実現し、後継者不足の解消も目指す。秋元里奈社長は「生産者ファーストの経営理念で、農家が報われる産業構造をつくる」と将来を見据えている。

3倍増収も可能

 同社が運営する「食ベチョク」は、高付加価値商品である有機野菜の生産者と消費者をマッチングしている。注文を受けると農家から直接発送するので、収穫から最短24時間以内に手元に届けられる。

 JAなどを通す従来の流通ルートでは生産者の収入は売値の3割ほどにとどまるのに対し、食ベチョクでは販売価格の2割を手数料として納めるだけですむ。このため食ベチョクで販売すると、自ら配送をする手間はかかるが生産者にとって2、3倍の増収となる。

 有機野菜のECサイトは他にも存在しているが、秋元社長は「通販ではなく、農家からの仕送りのような感覚」と自社の特徴を語る。他社は比較的生産規模の大きい農業法人などと契約して集荷センターに商品を集め、収穫した2、3日以降に発送するネットスーパーに近い業態となっている。

 しかし、同社は家族経営など小規模生産者との契約が中心であり、農家が自ら梱包(こんぽう)して発送している。

 このことは直接触れ合う機会がなかった生産者と消費者の交流につながっている。農家は発送する荷物に自作のレシピや手紙を同封し、購入客はホームページ上で生産者へのメッセージを書き込める。

 農家への売り上げの還元率も高いことから「食ベチョクで購入すれば農家のためになる」と支援の輪のような広がりをみせ購入者の6割がリピーター化し、なかでも定期購入コースでは9割が固定客となっている。

登録10倍250件

 秋元社長は、農家の長女として相模原市に生まれた。幼いころから畑を遊び場として自然に親しんできたが、母親からは農業の厳しい現実のため「農家を継がないでほしい」と言われ続けて育った。大学卒業後、若手にも裁量を与えて伸び伸びと働ける環境があると感じてIT大手のディー・エヌ・エー(DeNA)に入社。営業やマーケティング、新規事業などビジネスの一線で活躍した。

 充実した日々を送っていたころ久しぶりに実家に帰り、畑に足を踏み入れた。既に農家を廃業していたので畑は荒れ果てていたが、「農業のために貢献したい」という思いが沸き上がってきた。会社に所属したままでは、経営方針の転換による事業からの撤退もあり得る。

 生涯をかけて農業に取り組もうと、2016年にビビッドガーデンを起業。その後、全国の農家を直接訪ねて意見を聞き、17年に食ベチョクを立ち上げた。約20件から始まった登録生産者は口コミや紹介で右肩上がりに増え続け、いまでは約250件と10倍以上に成長している。

 食ベチョクで収入増を実現した次は、ITに不慣れな中小規模農家でも使いやすい生産管理システムの普及を図る。「システム化によって非効率を改善し、農業をもうかる産業に育てて後継者不足を解消させる」と日本の農業の問題解決を目指している。

【プロフィル】秋元里奈

 あきもと・りな 慶応大理工卒。2013年ディー・エヌ・エー入社。16年11月ビビッドガーデンを設立し、現職。28歳。神奈川県出身。

【会社概要】ビビッドガーデン

 ▽本社=東京都渋谷区代々木2-32-4

 ▽設立=2016年11月

 ▽資本金=4200万円

 ▽従業員=7人

 ▽事業内容=有機農作物のECサイト運営

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