◆もし人間の医師だったら……
不安な気持ちで再び訪れた病院の診察室。1対1で向き合った医師が言った。
「病理検査の結果、がんが見つかりました」
初期の食道がんで、大きさは直径1cmほど。覚悟はしていたが、ショックだった。だが、内視鏡手術で完治する可能性が高いと言われて、少しだけ落ち着くことができた。
そういえば、夏頃から時折、白米を食べると胸がつかえる感じがしていた。あとで調べると食道がんの初期症状のひとつだった。
再検査、手術は専門病院であるA病院で行なうことに決めた。東葛辻仲病院と同一のAI画像診断の試験をしているので、検査情報がスムーズに移されることを期待した。
1月15日に入院し、翌日には手術。事態は急テンポで進んでいった。手術は無事終わり、1月下旬に退院した。最終的な検査で「転移は100%ない」と診断され、ほっと胸を撫で下ろした。今後は定期的な内視鏡検査で、再発がないかチェックすることになる。
「AI診断のおかげで命拾いした」とまで言えるかどうかはわからない。AIでなくとも熟練した医師であれば発見できるものだったとも告げられた。