投資

【ドル円週間見通し】米中協議合意ならリスク回避の円買い後退

米追加利上げの可能性は残されている(ウォールストリート)

 投資情報会社・フィスコ(担当・小瀬正毅氏)が2月25日~3月1日のドル・円相場の見通しを解説する。

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 今週のドル・円は底堅い展開か。米連邦公開市場委員会(FOMC)会合の議事要旨(1月29-30日開催分)には、年内の利上げ停止を明示する記述は含まれていなかった。年内追加利上げの可能性は残されており、日米金利差の拡大を想定したドル買いが入りやすい見通し。米中両政府による閣僚級貿易協議で中国の知的財産侵害や技術移転の強要など構造問題への対応を巡り、双方は覚書を作成する作業に着手したが、3月1日の協議期限は延長される可能性があることから、懸案事項の処理について合意できれば、リスク回避の円買いは一段と後退しそうだ。

 米連邦準備制度理事会(FRB)による年内追加利上げの可能性は残されていることや、サンフランシスコ地区連銀総裁が米国経済のリセッション入りに否定的な見解を示しており、今週発表される10-12月期国内総生産(GDP)などの重要経済指標が市場予想を上回った場合、利上げ継続を期待したドル買いが見込まれる。

 また、欧州中央銀行(ECB)の金融政策に影響を及ぼすインフレ指標や雇用情勢が悪化した場合、ユーロ売り・米ドル買いが強まり、この影響でドル・円の取引でもドル買いが優勢となる可能性がある。英国の欧州連合(EU)離脱については、保守党や労働党から親欧州連合(EU)派の議員が離党しており、今後の議会採決に大きな影響を与える可能性があるため、ポンド売り(米ドル買い)に振れやすく、目先的に欧州通貨売りは継続しそうだ。

 なお、今月27-28日にベトナム・ハノイで開催される2回目の米朝首脳会談も一部で材料視されそうだ。在韓米軍の早期撤退の可能性が示された場合、地政学リスクの増大を警戒してリスク回避の円買いが広がるとの見方があるが、朝鮮半島の非核化が早い時期に実現される可能性が浮上した場合、東アジアにおける地政学的リスクの大部分は除去されるとの見方もあり、リスク選好的な円売りが増える可能性もある。

【米・10-12月期国内総生産(GDP)】(2月28日発表予定)
 28日発表の10-12月期 GDPは、米国経済の減速を示す内容になりそうだ。4-6月期は前期比年率+4.2%、7-9月期は同+3.4%と成長は徐々に鈍化。10-12月期の成長率はさらに低下すると予想されており、FRBの金融政策は弱気にならざるを得ないだろう。

【米・12月PCEコア指数】(3月1日発表予定)
 3月1日発表の米12月PCEコア指数は、前年比+1.9%の見通し。FRBの目標でもある前年比+2.0%をやや下回るものの、インフレ鈍化の思惑はやや後退し、ドル買い材料になるとみられる。

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