次に、「管理は遺族に託す」とある遺言の趣旨が重要です。通常、遺言で遺産の帰属を決める場合、誰々に相続させるとか、遺贈するといった表現が多いので、「管理を託す」というのでは、果たしてあなたへの死因贈与と矛盾し、贈与の撤回になるかは微妙です。
遺言の解釈は、遺言書の文言を形式的に判断するだけではなく、遺言者の真意を探究すべきもので、本件遺言書作成当時の事情を考慮し、遺言の趣旨を確定すべきとされています。この点、他人の家のことですから、遺族も教えないかもしれません。
とはいえ、撤回に疑問があるのですから、証文を示して、遺言で撤回されたと解される根拠についての説明を求めつつ、盆栽への愛着や故人との約束について詳しく説明し、理解してもらえるよう話し合ってはいかがでしょうか。
【弁護士プロフィール】竹下正己(たけした・まさみ):1946年、大阪生まれ。東京大学法学部卒業。1971年、弁護士登録。
※週刊ポスト2019年3月8日号