自筆遺言の作成も楽になった。これまではすべて自筆で書かれている必要があり、誤字などがあれば書き直さなければならなかったが、遺言書に添付する財産目録についてはワープロ作成や預金通帳のコピーの添付が認められたからだ(今年1月13日から先行施行)。
だが、リスクがなくなったわけではない。橘氏が言う。
「今回の法改正によって、自筆証書遺言を選択する人が増えると予想されます。しかし、一般の人が遺言書を書くのは難しい。とくに複数の子供がいて1人に多くの遺産を与えたい場合など、親の死後に分配に不満を持った子供たちが遺言の瑕疵を見つけて無効を申し立てることも珍しくありません。
相続争いを避けるには、生前に家族会議で分け方について子供たちに遺言の内容を説明して同意を得たり、プロの助言で遺言書を作成するのが望ましい」
※週刊ポスト2019年3月8日号