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「ル・コルビュジェ展」を支える新聞社女性社員の奮闘

ル・コルビュジエが設計した建物の中でその作品を鑑賞できる


◆なぜ美術館に入らず新聞社に入ったのか?

「新聞社の目線で考えた場合、“紙離れ”、“媒体離れ”が進んでいる中、我々文化事業部は新聞社でありながら、発行する新聞記事に頼らないフィールドを担います。具体的には、展覧会という形で東京新聞そのものをアピールしたり、考え方を表現することができます。展覧会に興味持った人々に我々が持つジャーナリズムに興味を持ってもらいたいと考えています。

 私自身、新聞社に入りたかったというよりは、学生の頃から展覧会という表現方法に興味がありました。学術的に美術を研究したりするのではなく、人に何かを発信し、共有できる場としての展覧会の魅力に惹かれて今の仕事に就いています。ですから私は記者の経験はありません。もしかしたら、美術系の仕事をするには学芸員にならなくてはいけないのか、と思う学生さんもいるかもしれませんがそんなことはありません。美術館だけが展覧会をやるのではなく、その展覧会をいかに社会的なものに位置づけるか、というのは私達のようなメディアの共催者がリードできますし、美術に深くかかわることができます」(森氏)

 そして、大島氏はこの仕事を選んだ理由をこう語る。

「私自身、生まれも育ちも名古屋でしたので、“地元への貢献”ということが就職活動の軸でした。子供のころから両親に連れられて美術展などによく足を運んでいましたし、生活に役立つ情報を与えてくれる新聞以外にも、新聞社が行うイベントや展覧会はとても身近な存在でした。様々な形で、地元とそこで暮らす人と関わっていけるところに魅力を感じて新聞社の事業局を志望しました。私はビジネス職採用のため、4月に入社し販売店研修などをうけ、6月に事業局へ配属されました。その後の研修は編集職の同期とは異なる内容でしたが、事業局に所属していても、編集や広告、販売など他局の協力を仰ぎながら一丸となって、事業の成功を目指しています」

◆新聞社の美術展へのかかわり方、1プロジェクトに5年

 森氏は20年近く文化事業部で展覧会に携わっているという。2010年に東京新聞が「ゴッホ展」を開催した際に、展覧会ができるまでの流れを紙面で紹介した新聞記事をもとに解説してくれた。

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