かくして開幕した同展だが、大島氏は見どころについてこう語る。
「もちろんル・コルビュジェが好きな方にもご覧いただきたいですが、馴染みがない方にも見てもらいたいです。世界遺産でもある国立西洋美術館の本館は、ル・コルビュジエが設計した建物。その建物の中で、彼自身の作品を見ることができるのはとても珍しいことです。彼はインドにも2つの美術館を建てましたが、今回のように28か国、40か所から作品が集う規模の展覧会をル・コルビュジエ建築の中で紹介するのは史上初の試みです」
森氏は「国立西洋美術館は『層と層が重なり合って見える設計』になっています。コルビュジェは建築でこれを実現しましたが、絵画でも『層と層が重なる』構図で描いています。今回の展覧会ではそうした2Dの絵画を見ながら、3Dで西洋美術館の設計も見てコルビュジェの世界を堪能していただければ、と思います」と語った。
この仕事が女性向けである点について、森氏は以下のように語った。
「とある医大が、女性はコミュニケーション能力が高いから落とす、と言ったことが昨年話題になりました。我々の仕事はコミュニケーションの仕事です。自分が持っているアイディアを形にするまでに、多くの人を巻き込まなくてはなりません。最初は一人です。そこから始まり、『それいいよね、やりたいよね』という美術館のパートナーを見つけ、『そういう展覧会だったら協力するよ』という人を見つけなくてはならない。
こうして多くの人々が集まる“渦”を作るのに、最初は大変な力が必要です。しかし、この渦が生まれ、物事がまわり始めると、周りがうまく巻き込まれていくようになる。そうなると展覧会も成功します。展覧会って、そういう力、人の力で成り立つもの。そのコミュニケーション能力が十分に生かせますし、女性ならではの繊細なこだわりは、この仕事には向いていると思います」
「女性活躍」はまだまだデータ上は日本はかなり「下」となっているが、このような仕事環境もあることを学生は知っておいた方がいいかもしれない。
■国立西洋美術館開館60周年記念 ル・コルビュジエ 絵画から建築へ──ピュリスムの時代
開催期間:2019年2月19日~5月19日
休館日:月曜(ただし3月25日、4月29日、5月6日は開館)、5月7日休。
場所:国立西洋美術館 本館
開館時間:9時30分~17時30分(金曜、土曜は20時まで)