芸能

九州新幹線全線開業CM、制作者が実感したネット時代の発信力

数々の名作CMを手がけた古川祐也氏(撮影/山崎力夫)

「九州にとってみれば、半世紀に一度のビッグイベント。当時日本は不況で元気がないということになっていましたが、九州の方たちは普通に明るくエネルギーにあふれていました」──2011年の九州新幹線の全線開業をそう振り返る古川裕也氏。CMを企画するにあたり、半世紀近く前の歴史的なキャンペーンが念頭にあったという。

「まず思い浮かべたのは、1970年代後半に、荒廃したニューヨークを再生しようとした『アイ・ラブ・ニューヨーク』キャンペーン。乱暴に言うと、あれを九州でやればいい、と直感的に思いました。

 フランク・シナトラなどのセレブやブロードウェイ・ダンサーたちが、『アイ・ラブ・ニューヨーク』と歌い踊る。九州で創るべきはCMというより、一つの大きな祭りではないかと思いました。ただ、ニューヨークと違うのは、タレントは起用せず九州の人々だけで構築すること。ノンフィクション、つまり実際に今起きていることでCMを成立させようと考えました」

 こうして「新幹線を九州の人たちが祝福する」というアイデアが生まれた。コピーはシンプルに「祝!九州」。撮影用の試運転では、新幹線の車内と沿線の各所に数十台ものカメラを設置。鹿児島中央駅から博多駅までの約250キロを縦断する、一発撮りでのCM撮影が実現した。

「撮影日は2月20日。沿線には2万人くらいが集まってくれました。僕が想像していた100倍くらいの熱量。最初から最後まで九州の人たちのポジティブなラテン気質に救われました」

関連記事

トピックス

《愛子さま、単身で初の伊勢訪問》三重と奈良で訪れた2日間の足跡をたどる
《愛子さま、単身で初の伊勢訪問》三重と奈良で訪れた2日間の足跡をたどる
女性セブン
水原一平氏と大谷翔平(時事通信フォト)
「学歴詐称」疑惑、「怪しげな副業」情報も浮上…違法賭博の水原一平氏“ウソと流浪の経歴” 現在は「妻と一緒に姿を消した」
女性セブン
『志村けんのだいじょうぶだぁ』に出演していた松本典子(左・オフィシャルHPより)、志村けん(右・時事通信フォト)
《松本典子が芸能界復帰》志村けんさんへの感謝と後悔を語る “変顔コント”でファン離れも「あのとき断っていたらアイドルも続いていなかった」
NEWSポストセブン
大阪桐蔭野球部・西谷浩一監督(時事通信フォト)
【甲子園歴代最多勝】西谷浩一監督率いる大阪桐蔭野球部「退部者」が極度に少ないワケ
NEWSポストセブン
がんの種類やステージなど詳細は明かされていない(時事通信フォト)
キャサリン妃、がん公表までに時間を要した背景に「3人の子供を悲しませたくない」という葛藤 ダイアナ妃早逝の過去も影響か
女性セブン
創作キャラのアユミを演じたのは、吉柳咲良(右。画像は公式インスタグラムより)
『ブギウギ』最後まで考察合戦 キーマンの“アユミ”のモデルは「美空ひばり」か「江利チエミ」か、複数の人物像がミックスされた理由
女性セブン
30年来の親友・ヒロミが語る木梨憲武「ノリちゃんはスターっていう自覚がない。そこは昔もいまも変わらない」
30年来の親友・ヒロミが語る木梨憲武「ノリちゃんはスターっていう自覚がない。そこは昔もいまも変わらない」
女性セブン
水原氏の騒動発覚直前のタイミングの大谷と結婚相手・真美子さんの姿をキャッチ
【発覚直前の姿】結婚相手・真美子さんは大谷翔平のもとに駆け寄って…水原一平氏解雇騒動前、大谷夫妻の神対応
NEWSポストセブン
大谷翔平の通訳・水原一平氏以外にもメジャーリーグ周りでは過去に賭博関連の騒動も
M・ジョーダン、P・ローズ、琴光喜、バド桃田…アスリートはなぜ賭博にハマるのか 元巨人・笠原将生氏が語る「勝負事でしか得られない快楽を求めた」」
女性セブン
”令和の百恵ちゃん”とも呼ばれている河合優実
『不適切にもほどがある!』河合優実は「偏差値68」「父は医師」のエリート 喫煙シーンが自然すぎた理由
NEWSポストセブン
大谷翔平に責任論も噴出(写真/USA TODAY Sports/Aflo)
《会見後も止まらぬ米国内の“大谷責任論”》開幕当日に“急襲”したFBIの狙い、次々と記録を塗り替えるアジア人へのやっかみも
女性セブン
違法賭博に関与したと報じられた水原一平氏
《大谷翔平が声明》水原一平氏「ギリギリの生活」で模索していた“ドッグフードビジネス” 現在は紹介文を変更
NEWSポストセブン